ギャラガー兄弟を車に乗せてドライブツアーしてみた(仮)(9)の続きです。

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[4.激辛ラーメンと格闘①]

 

ある店に到着。黒っぽく、こじゃれたディナーのお店のような外観。
R「ささ、どうぞ。お待ちかねのお店ですよー(シートを倒して兄弟を車から出す)」
L「なんか、俺の想像してた店とは違うな。ラーメンの店って、のれんがかかっているんじゃねえのか?」
R「ここはちょっとしたパブみたいなお店なんですよー。でも味は保証しますよ、私が食べて美味しかったので」
L「あんたの話だけじゃちょっと怪しいな。まあ、ラーメン食えりゃなんでもいいし、入ってみようぜ」
頭の中がすっかりラーメンなリアムと、ニコニコ顔のrainlylaの後を、苦虫を噛み潰したような顔且つ無言でついていくノエル。
中に入ると、仄明るい照明が点在しており、モノトーン調の椅子やテーブル、カウンターがあっておしゃれな雰囲気。他に客が数名いるが、3人には気づいていない様子。
3人、カフェ風の制服を着た店員に案内され、一つのテーブルに腰を下ろす。
L「なんだかラーメンっていうよりフランス料理が出てきそうな感じだなあ」
R「(兄弟にメニューを渡しながら)ここは店長さんがラーメンとバーを一緒にやりたいって考えたんだそうです。だから色んなラーメンもあるし、ほら、お酒も種類が豊富ですよー」
N「(メニューを見ながらやっと口を開く)……へぇ、ビールもワインもあんのか。おっ、ギネスも置いてあるんだな」
R「飲み放題で頼んでますので、お好きなのをどうぞー」
漸く機嫌が直るノエル、夢中になってメニューを見ている。
L「じゃー俺はとんこつラーメンで」
N「何にしようか……。じゃ、このでっかい肉が乗ってるやつ」
R「ノエルさんはチャーシュー麺ですね。了解ですー(テーブルに置いてある呼び出しボタンを押す)」
N「そういえば、ここってフォークってあんのか?」
L「何言ってんだよ、ラーメンは箸で食うもんだろ」
N「俺はフォークしか使わねえ(ドヤ顔)」
R「わかりました、店員さん来た時に聞いてみますねー」
L(箸を使わねえんじゃなくて、使えねえの間違いだろ…プププ)

 

数十分後。
L「うめえ。本当にうめえよこれ」
R「でしょう。喜んでもらえてよかったですー」
箸を使って器用にラーメンを食べるリアム。ごく普通に味噌ラーメンをすするrainlyla。
一方、ノエルはフォークにラーメンをくるくると巻いてパスタのように食べ、ギネスビールをぐびぐび。そのフォーク、プラスチック製で白地にリラックマがプリントされている。
R「(リアムに耳打ち)普通のフォークもありますけど、食べにくいからってお店の人が気を利かせてお子様用のフォークを出してくれたんですよー」
リアム、口を押さえ、肩を震わせて声も出さずに笑っている。リラックマフォークで巻いたラーメンをパクリと食べながら、それを不思議そうに見ているノエル。
L「(スープまでしっかり飲んで)あー、うまかった! これ、お代わりできんのか?」
R「あ、それじゃ追加しますねー」
L「ちょい待て。(真正面の柱を指さし)あそこの柱に貼ってあるやつ、なんて書いてあるんだ?」
R「えーと。『大盛激辛ラーメン、30分以内に完食できたら料金タダ』」
L「本当かあ? よし、じゃあ俺が試してやる」
R「リアムさん、辛いの大丈夫でしたっけ?」
L「俺がやるからいいんだよ。もし完食できたら、この店の自慢にもなるだろ。もしできなくても、その分は俺が払うから安心しろよ」
R「それじゃ、私の立場が……」
N「自腹は別にいいけどよ、知らねえぞ、腹壊しても(チャーシュー麺を完食して、相変わらずビールぐびぐび。傍らにはギネスとスーパードライの瓶が5本ずつ、生ビールのジョッキも置いてある)」
L「とんこつラーメンがこんなにうめえんだから、そんなわけねえだろ(自信満々)」
R「わ、わかりました。これに関しては、リアムさんの自己責任ということで」

 

(11)に続く。

ギャラガー兄弟を車に乗せてドライブツアーしてみた(仮)(8)の続きです。

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[~小休止~]


カーステレオからはビートルズのマジカル・ミステリー・ツアーが流れている。
L「俺このアルバム好きなんだー(嬉しそう)」
R「聴き慣れてるかもしれないですけど、やっぱりお二人にはビートルズだと思って」
L「聴き慣れることなんてねえよ。ビートルズはいつでも俺にとって新鮮だぜ。さっきのレディオヘッドなんてしょぼくれた音楽聴かされるより、ずっといい」
N(俺は別にどっちでもいいけどな……)
R「なんだったら、ニルヴァーナもありますけど」
L「うぇっ、やめてくれ(大げさに頭を抱える)せっかく良い気分なのに、谷底に落とされた気分になっちまう」
R「コールドプレイもありますよー」
L「ファッキンいい加減にしろこのチンチクリンのウスラトンカチ。俺を永遠に眠らす気かよ」
N(なんでもいいよ……)
しばし曲に合わせて軽く口ずさむリアム。ノエルは相変わらず頬杖をついてむっつりと窓の外を眺めている。rainlyla、ハンドルを握りながら幸せをかみしめる。
R(なんて贅沢なシチュエーションなんだろう……)
リアム、ふと歌うのをやめて、rainlylaに声をかける。
L「おい、チンチクリン」
R「はい、なんでしょう?」
L「スピード出さないのか? 高速ん時と比べるとやけにのんきに走ってるみたいだな」
R「さすがに高速では出し過ぎました(肩をすくめる)お二人乗せてるってだけでテンション上っちゃって。おまけに一度やってみたかったってだけで、ドリフトまでやってしまったし」
L「あれで良く捕まらなかったよなあ。つーか、ドリフト初めてだったのかよ(ヤレヤレと頭に手をやる)」
R「私、これでも普段は安全運転ですよ。さすがに天下のロックスター様に漏れさせるわけにはいきませんから」
L「俺もバカだけど、あんたも負けず劣らずだなあ」
R「ふふ、そうですね」
L「お、I Am the Walrusだ」
曲に合わせて朗々と歌い出すリアム。ずっと窓の景色を見ていたノエルの眉毛がピクリと動く。
L「♪あいあ~じえぐまん~」
R「フー!(掛け声)」
L「♪うぃあ~じえぐまん~」
R「フー!」
L「♪あいあ~ざうぉ~ら~す」
LR「くくっぴじゅー!」
曲が終わってからリアム、拍手する。
L「あんたなかなかノリがいいな」
R「今私、すごく興奮してます! リアムさん、すごく良い声!」
L「へへ(照れくさそうに鼻の下をこすりながら)ラーメンのために今日酒我慢した甲斐があったってもんだ」
R「これは私、お金払わなきゃですね!」
L「いらねえよ、そんなもん」
R「えっ、だってこんな良い歌、タダで聴くわけにはいかないですよー」
L「今回のツアー、言ってみれば俺達ゃタダだけど、あんたの自腹だろ? だったら、俺の歌もその金の中に含まれてるってことにすりゃいいんじゃねえのか? 悪い話じゃないと思うぜ」
R「リアムさん……(感激)」
L「俺も気持ち良く歌えたし、良いウォーミングアップになったぜ。ありがとよ」
車中にほんわかとした空気が流れる。黙って窓の景色を見ているノエルの口元も、心なしか綻んでいるように見える。
L「さーて、後はうまい酒とラーメンまで一直線だー!(上機嫌で拳を振り上げる)」


(10)に続く。

ギャラガー兄弟を車に乗せてドライブツアーしてみた(仮)(7)の続きです。

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今回はできれば最初から、もしくは先に前回分を読んでからこちらを読むことをオススメします(;^_^A

 

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[3.珍しい体験(オチ)]

 

R「はーい、お疲れ様でしたー」
どこからか、妙に間延びしたrainlylaの声。
N「あ?」
ノエル、慌てて涙を乱暴に拭い、声のした方を睨みつける。
すると、向こうからぞろぞろと何人かが笑顔でノエルの方へ歩いてくるのが見える。その中には手を振るリアムとrainlylaの姿もある。
N「リアムーーーー!!!」
ノエル、弾かれたように走り出し、リアムの首に飛びつき、力いっぱい抱きしめる。
L「ちょ、ノエル、苦しくて動けねえよ!」
N「何言ってんだこのバカ野郎、マジで死んだと思ったじゃねえか!! ファッキン心配させやがって!! ケガはなかったのか?」
L「ああ、この通りピンピンしてるぜ。俺が死ぬわけねえだろう」
N「でも……」
ノエル、リアムに抱き着いたまま足で地面をトントンと叩き、建物を見上げる。
N「幾らお前がバカだからって、あの高さから飛び降りたんじゃどう考えても助からないはずなんだが」
L「ああ、あそこからじゃ暗くて見えにくかったかもしれねえけど、ちゃんと安全マットが置いてあったんだよ」
N「安全マット?」
リアムの横からひょいと一人の女性が出てくる。
???「リアムさんがまさか飛び降りてくるとは思わなくて、びっくりしましたー。でも、お二人ともすごく優しい方達でしたよ」
N「な!? あんた……」
血は拭き取り、髪も整えてあるが、ニコニコ笑っているその女性は確かにあの女子高生である。
R「あ、こちら、お化け屋敷のスタッフですー。どうやら迫真の演技だったみたいですねー。こっちのテレビから出てくる貞子役の方にも、だいぶ怖がってもらったみたいですねー」
貞子役の女性(以下S)「(明るい声で)私もノエルさんがあんなに驚くの、初めて見ましたよ」
JK「私、リアムさんとノエルさんの歌を両方聞けてすごく贅沢でした(嬉しそうに頬を押さえる)」
S「うわ、それ私も聞きたかったー!」
R「いいなあ、私も聞きたかったですー(しばし、女子トークで盛り上がる)」
N「お化け……屋敷……!?」
L「今のお化け屋敷ってすげえ進んでるのな。ただ鼻くそみたいなしょぼいモンスターがわざとらしく出てくるだけじゃねえんだなー」
リアム、ノエルの肩がわなわなと震えているのに気づく。
L「あ、ノエル、その怒りはさっき俺がチンチクリンに思いっきり発散しておいたから安心しな」
R「今まで聞いたことのない言葉まで聞かされて、すごく新鮮でしたー(本当は早口すぎてほとんど聞き取れませんでした(笑)」
ノエル、全身の力が抜け、空気の抜けた風船のごとくその場にへたり込む。
L「うわ、ノエル、大丈夫か!?」
R「そろそろお開きにした方がいいみたいですねー」

 

お化け屋敷のスタッフ達に見守られ、建物を後にする軽自動車一台。
中では鼻歌を歌いながら運転するrainlylaと、ニヤニヤ笑いながらノエルを見つめるリアムと、ずっと仏頂面のノエル。
L「……なあ」
N「(そっぽを向いたまま)あ?」
L「俺が死んだと思って、心配してくれたのか?」
N「黙れこのクソバカ弟」
L「俺の名前を呼んでる時、あんなデカい声出してるノエル、初めてだったな」
N「テメエいい加減黙らないと、車から出たら立ち直れないくらいにファッキンぶちのめすぞ」
L「へへ」
ふん、と鼻を鳴らすノエルと、手を頭の後ろにやり、足を前座席にかけて歯を見せて笑うリアム。
R「さてさて、お二人ともお腹空いたでしょう。本日のメインイベント、これから美味しいお酒とラーメンのお店に向かいます。期待してくださいねー」
L「ラーメン♪ ラーメン♪(子供のように大はしゃぎ)」
ノエル、再度鼻をふんと鳴らし、黙って窓の外を見つめるだけ。

 

(9)に続く。

ギャラガー兄弟を車に乗せてドライブツアーしてみた(仮)(6)の続きです。

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[3.珍しい体験(後編②)]

 

現れたのは、ボサボサの長い髪とボロボロの制服、更に頭から大量の血を流している、青白い顔の女子高生。ゆっくりと兄弟に歩み寄るが、兄弟、意外にも大して怖がっていない。
N「何やってんだ、こんなところで」
L「つーか、血ぃ出てるけど、痛くねえのかよ?」
女子高生(以下JK「(近づいてやっと聞こえる範囲のか細い声で)私が……怖くないのですか?」
N「さっきまで散々もっと怖い目にあってきてるからな。もう慣れっこだ(隣でリアムの笑い声が漏れるが、スルー)」
L「それよりあんた、ケガしてるじゃん。大丈夫か?」
JK「いいんです……。私、もう死んでいるから」
NL「は?」
JK「そこの窓から、飛び降りました。……耐えられなかったんです、いじめに(ポロポロと涙をこぼす)」
N「あんな高いところから飛び降りる度胸はあったわけか。周りは何にもしてくれなかったのか?」
JK「先生も、親も事なかれ主義で……。陰口や無視はもちろん、制服を汚されたり切られたり、教科書も体操着もゴミ箱に捨てられたし、お弁当に気持ち悪い虫いっぱい入れられたし、トイレで恥ずかしいこともされたのに、誰も、助けてくれなかった……(号泣)」
リアム、乱雑に顔にかかっている女子高生の髪をひょいと上げる。
L「可愛い顔してんのになあ。俺達にもう少し早く会うことができれば、そのあんたをいじめた○○○野郎共と△△△頭教師とクソ親共をまとめて再起不能にしてやることができんのに」
N「お前が出てきたら、余計に事態がややこしくなるだけだ。まあ、飛び降りちまったもんはしょうがねえけど、君はこれからどうしたいんだ?」
JK「私、は……」
N「結局、君が死んでも、奴らは今までと変わらない生活をしてるんだろ? そんな腐った奴らを生きてるうちに見返してやりたいとは思わなかったのか?」
L「ノエル、これだけ弱ってるのに、理詰めで責めたらかわいそーだろ」
N「けどよぉ、やっぱりこの子が死んで悲しんでいる人間は少なからずいるはずなんだぜ。それなのに、自分から人生を終わらせるってのが、俺にはどうにも理解できなくてな」
JK「……眠りたい、です」
NL「え?」
JK「死んでからずっと、ここの教室から出られなかったんです。ただ、楽しそうにしている同級生達を見ているだけで、呪うこともできなかった。誰とも話すこともできなかったし、夜も独りぼっちで眠ることもできなくて、ただ時間が過ぎていくだけだったんです……」
兄弟、顔を見合わせる。
L「子守歌でも歌ってやったらいいのか?」
N「あー、やっぱりギターでも持ってくりゃ良かったな。酒のことしか頭になかったし。失敗した」
L「別に二人で歌えばいいじゃねえか。今のお前なら、それなりに歌えるんだろ? 俺ほどじゃねえだろうけど」
N「(少し意外そうな顔をしてから、ニヤリと笑う)バカ野郎、一言余計だ。そんなら、昔のUKの子守歌でも歌ってやるか」
教室中に、兄弟の優しい歌声が流れる。女子高生の口元に、うっすらと笑みが浮かぶ。
N「(歌い終わってから)やっぱり、ギターがないとちょっと心もとないな」
L「もし天国に行けたら、みんなに自慢してやんな。俺達の歌をタダで聞けたってな」
JK「ありがとうございます。これでゆっくり眠れそうです……」
NL「おい!?」
女子高生、すうっと窓に近づくと、兄弟が止める間もなく飛び降りてしまう。
L「クソッ、何二回も同じことやってんだよ!?」
リアム、慌てて同じように飛び降りてしまう。
N「おいバカ、何やってんだ!!」
ノエル、窓に駆け寄り、外を見下ろすと女子高生の姿はなく、建物のちょうど真下でリアムが倒れているのが見える。
N「リアムーーーーー!!!!
ノエル、ドアに向かって、ダメもとで机を投げつける。すると、あっけなく轟音を立ててドアが倒れる。
N「なんなんだ……。アイツがあれだけ暴れても開かなかったのに……クソッ」
教室の外に出ると、壁全体に同じ方向の矢印が書かれた紙が幾つも貼ってある。
N「こんなこと今頃しやがって……」
ノエル、舌打ちをしてから矢印の方向へ力の限り走る。
ちょうど突き当たりにエレベーターを発見。ノエルが到着すると同時に、ドアが開く。
N「こんなもん今までなかったじゃねえか……ったく、何のために散々歩き回らせやがったんだ」
ブツブツ文句を垂れながら、閉ボタンを連打するノエル。ドアはすぐにしまり、何秒もしないうちに一階に到着。
ドアが開くと、すぐに出口が見える。ノエル、建物を出てから、周りに沿ってリアムを探す。
N「リアムー! おい、生きてんなら返事しろリアムーーーー!!!」
しかし、幾ら走ってもリアムどころか人一人影さえ見えない。次第に走り疲れて足が止まってしまう。
はあはあと息を切らし、がくりと体を折り、うつむくノエル。
N「……これじゃ、母さんにも申し訳つかねえよ……いや、こんなことになる前に、もっともっとアイツの顔見てちゃんと話せば良かったな……殴り合いになってもいいから……」
ノエルの目に涙が滲む。

 

(8)に続く。

ギャラガー兄弟を車に乗せてドライブツアーしてみた(仮)(5)の続きです。

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[3.珍しい体験(後編①)]

 

N「(息も絶え絶えに)マ……マジでヤバかった……。アイツ、俺を不能にさせる気かよ……」
ふと顔を上げると、リアムがニヤニヤと笑っている。
N「なんだよ。お前随分余裕だな(フンと顔を背ける)」
L「どーでもいいけどよ、いい加減手を離してくれよ。お前が握りしめてるせいで、痛くてしょうがねえんだけど」
そこで初めてノエル、リアムの手をしっかり握っていることに気づき、乱暴に振りほどく。
N「このことはあの子供番組司会女にも絶対話すなよ。一言でも漏らしたら、全身メッタ刺しだけじゃ済まないと思え」
L「(嬉しそうに)思い出すなあ」
N「何を」
L「ガキの頃、よく一緒に夜の散歩に出かけたじゃねえか。あの時は今とポジション逆だったけどさ。夜暗いのが怖くて、俺いっつもノエルの手を握りしめていたんだよなあ」
N「……変なこと思い出してんじゃねえ。あの時は親父の暴力から俺とお前を守るのに、外に出るのが精一杯だったんだ。くだらない思い出話している暇があったら、ここをさっさと脱出するぞ(くるりとリアムに背を向け、歩き出そうとする)」
L「あ、そっち逆だぜ」
N「(イライラしながら)なんでお前にわかるんだ?」
L「ここにもデカい矢印貼ってあるぜ。演出が小便臭い割に随分親切だよな」
ノエル、リアムの頭を思いきり叩くと、それ以降目もくれず、黙ってずかずかと矢印方向に歩いていく。
L「いってーなー」
叩かれた頭をつるりと撫で、握られた手を眺めながら嬉しそうに呟くリアム、急いでノエルの後を追う。

 

幾つも貼ってある矢印に従いながら歩いていくと、再びOPEN THE DOORと書かれた紙が貼られたドアが登場。
ノエル、ポカーンと口を開けて固まる。
L「ここにも何かあるってことか」
N「なあ、この部屋スルーするってことはできねえのかよ」
L「無理そうだな(辺りを見回して)ここのフロア、これ以外に貼り紙ないし」
ノエル、がっくりと頭を垂れる。
L「少なくとも、女がテレビから出てくるってことはもうないし、こうなったら少しでも脱出の手がかりになるもんに賭けるしかねえだろ」
諦めたようにため息をつくノエル、仕方なくドアに手を掛ける。ギシッという音に、とっさに手を引っ込める。その様子を見てリアム、口を押さえて必死で笑いを堪える。
L「しょうがねえな、俺が開けてやるよ(これは後でチンチクリンに報告だな(笑)」
ギシギシと音を立てながら、漸くドアが開く。
L「まーた無駄に電気がついていやがる。まぶしくてしょうがねえよ」
N「大量の机と椅子と黒板……。学校の教室みたいだな」
L「こんなところで何すんだよ。勉強しろってんなら、俺いち抜けるぜ」
突然、リアムの背後で激しい雷鳴音。
L「ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!(歌ってる時でも出せないほどの大声)
リアム、逃げようとドアへと向かうが、外から鍵をかけられていて、開けることができない。
N「俺達、閉じ込められたのかよ!?」
リアム、またしてもここには書けない放送禁止用語を連発しながら、ドアを殴る蹴るはもちろんのこと、椅子や机を投げつけるが、古ぼけた外見に反してビクともしない。
N「窓からも……無理か、ここから飛び降りたら即死間違いなしだな。携帯……マジかよ、圏外!?」
兄弟の間に絶望的な空気が流れる。傍若無人に教室中を暴れまくるリアムと、頭を抱えるノエル。
と、ノエルが何かに気づく。
N「おいリアム、ちょっと静かにしろ」
L「これがファッキン黙っていられるかあああああぁぁぁぁ、dfbなgbj;けあjrんb!!!!!(後半はもはやノエルでも理解不能)
N「本当に黙らねえと、またクリケットのバットで頭殴るぞ。……何か、聞こえねえか?」
L「あ?(一瞬で動きがピタリと止まる)」
???「……れか」
どこからか、弱々しい女性の声が聞こえる。兄弟、慌てて耳を澄ませる。
???「……だれか……たすけて……」
教室の照明がすうっと消える。兄弟の肩がビクッと震える。
N(また何か出てくんのかよ……)
L(さっきの雷よりはましだけど、ここにテレビはないはずだぜ……)
黒板前の辺りがぼうっと青白く光ると、そこに何者かが現れる。兄弟、目を見開いて息を飲んでそれを見つめる。

 

(7)に続く。