雲の向こう側の太陽が、くっきりした雲のエッジを刃物のように際立たせている。

ぼんやり見ていると、突然姿を現わす太陽によって、目をやられてしまう。

 

集中

集中するためには、基本的には内なる阻害要因を払うことが必要になる。

その場合の「はらう」は、「祓う」と書いても問題のない性質のものだ。

 

風化

風化しつつあるものの形がアートにもなりうるのは、「風化にともなって残され、出現する形」が、アートの一つの側面を示しているからなのかもしれない。

 

教条

「日本では救急車などが通るとき、走行中の一般車が一斉に停止して道を譲るのに驚いたよ」

「救急車に乗っている人は、一般車に乗っている人ほどには、時間も健康も持っていないだろう」

「それは理解できるが、それがなんなのか?」

「持っている者が持たぬ者に与えよというのは、あんたたちの教条じゃないのか?」

 

冬の夜

寒い夜ほど、空の星が視界に入ってくる。

比較的暖かな夜は、周囲にばかり目がゆくものだ。

 

疲労感

疲労と疲労感は別物だ。

歩き続ければ疲労するが、休むためのベンチを探して見つからないときに、疲労感が訪れる。

 

挨拶

ドアを開く行為が、言葉によってなされること。

ドアの重さはあまり問題にならない。

 

小さな滝

川の上流側と下流側の境界となっている小さな滝が、白く輝いている。

まるで、それが境界の色なのだと言っているかのように。

そこで渦を巻いているものと、そして森のざわめきと。

 

現世

預かり物は、返さなければならない。

頼み込んで預かったわけではないものまで含めて、すべてを。

 

通りすがりの、山の中の街。風は冷え始め、陽が翳り始めている。

冬の道に沿って先まで連なる、知らない人が住む家々。

 

 

 

 
 

"MIDNIGHT BLUE" - CARAVELLI and His Grand Orchestra

 - L.v.BEETHOVEN - "Pathétique"