遠くに海が見える。

この季節の陽光の下、その色を次第に変えながら、海流は移動してゆく。

 

薄手のカーテン

カーテン越しに明るい側から暗い側は見えにくく、暗い側から明るい側は見やすい。

この世界がカーテン越しに見えるようなものだとしたら、なにを見ていることになるのだろうか。

 

対価

対価抜きでは生活していけない。

しかしただ一点、対価抜きの個所が内に必要だ。

 

広い水面

風が吹けば波立ち、そこに音楽が生まれ、風が無ければ空を映す鏡にもなる。

 

慣れ

思考停止がもたらす夢でもあり、新たな思考に向かわせるドアでもある。
 

鼓動

すべての存在は原子レベルで鼓動であるかのように運動を続けている。

言い代えれば、鼓動ゆえに存在は存在となる。

 

電線

昔、電話が開通した頃、電線に手紙を括りつけた人がいたそうだ。

そんな場所で目を閉じて座っている旅人の、血に染まった幸福感。


耳鳴り

静かな場所でのかずかな耳鳴りは、それも自分の声なのだろうか。

味も素っ気もありはしない。
 

夕暮れ時の空

朱はグレーに移り、やがて闇が訪れる。

姿を見せ始める星座は、光の点であっても地球よりはるかに大きいものなのだ。

 

歩めば木々の影が、この身の影と融合し、そして離れてゆく。