終点にある緑の混沌から、いつでもかいま見えているもの - 那珂市 額田城跡、阿弥陀寺

 
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那珂市の額田城跡と隣接する阿弥陀寺をめぐった。城跡の森の中ではただの一人にも出会わなかった。
それだけではなく、そもそもこの季節にはあまり人も歩かないのだろう、道が野草に覆われている個所も目立った。
相変わらずオニのように暑く、湿度が高いにもかかわらず、しかし今年の緑の爆発的な拡大は、もう停止しつつあるのだろうという感じがする。
今年はここまで領域を広げ、そして眠りについて再び目を覚ますのだ。
 
混沌とした緑の先に、辛うじてなにかが見えることもある。今年の拡大で、まだ覆い隠し切れなかったものがあるのだ。
古い城塞跡を覆い隠そうとしてきたエルフたちが、あちこちに潜んでいる。
 
「すっかり覆い隠したつもりだろうけど、まだまだだね」
「でも、もっと気合を入れて覆い隠したら、きみなんかここを歩けなくなるよ?」
「それは困る」
「困らせてほしいのかと思った」
「ちっ」
「あ、また聞こえるように舌打ちした」
 
混沌は終点に向かいつつあり、しかし必ず再会を約束しているのだ。