旅人
けっして満たされることがない者たち。
 
仕事
対価を得ることは仕事の前提と言える。
しかし、これまで自分が生きてこれたことを考えれば、そのことへの対価としての仕事という考え方もあるだろう。
後で受け取るものだけでなく、すでに受け取っているものは必ずある。
 
どこから来たのか、どこに行くのかも知れないままに、暖かな風が初春の明るい森を吹き抜けてゆく。
 
バランス
バランスを保っていたもののどこかが欠落すれば、バランスを維持するためには、別の箇所が変形して育つ必要がある。さもなければ倒壊するしかなくなるだろう。
変形して育つ箇所に、多くの意味が含まれてくる。
 
休息
横になるとき、また起き上がることが頭にあれば、とても休めたものではない。
それなら休息と死には、似たようなものがあるのかも知れない。

 

弱さ

目に見えるような弱さには、もう一つのものが背中合わせにあるものだ。

そしてそれは、いつでもモンスターになりうるものでもある。

 

激動

それぞれの立ち位置が識別できる激動は、本質的なものではない。本物の激動は、その識別すら困難なものになる。

それぞれの立ち位置が流動的になるからこその「激動」だからだ。そこにおいては、敵味方という概念すら曖昧なものになるだろう。

 

新月
自分についてきているものと、自分の内でそれに反応しているもの。
語らいなき語らい。── 止まっていた時計が時報を鳴らしている。
 
予兆
大激変においてさえ、予兆は微細なものとして現れる。
それを無視すれば、安心の幻想を得ることだけはできるだろう。
 
時間
高台から見える海原の、陽光を受けて輝いているエリアがゆっくりと移動してゆく。
 
 
 
 

 

Siberius "Ballade Op.11" "Valse Triste Op.44" Colin Davis Boston S.O.