隣家

緩やかな風。

風向きが変わると、隣家のキンモクセイの香りが静かに寄せてくる。

 

選択肢

予定すらしていなかった、たまたま立ち寄った場所で遭遇する想定外が、新たな場所があることを教えてくれる。

そんなとき、そこに呼ばれたと感じることがある。

 

よく知った場所に戻らなければならないからこそ、それは光芒を放つ。

記憶されているものに上書きさせたい、まだ記憶されていないものはいつでも光芒を放っているだろう。

 

薄手のカーテン

明るい側から暗い側を見せない、魔法の境界。

逆に、暗い側から明るい側を見せてくれることによる心理的効果には、驚くべきものがある。

 

BGM

少なくともそれは好みの音楽でなければならないが、好みであるにもかかわらず、支配的なまでの音量を持ってはならないものでもある。

 

ほんの短時間だけ姿を見せる、天空のポリフォニー。

数々の自然現象は、どれほど多くの神話を生み出してきたことだろう。

 

ユグドラシル

一つのものが紡ぎあげる無限。

おそらくこの宇宙自体がユグドラシルそのものなのだ。

 

伐採後の更地

かなちょろやカマキリ、蝶などの姿も見かけなくなってしまった。

無垢なるものは、必ずしも「整理された綺麗な場所」にあるわけではないだろう。

 

方向

追いかけているつもりで、そのためにますます離れて行くこともある。

そんなとき、狂気の一つの姿がそこに潜んでしまう。

ロジックは正気を支えつつ、しかし狂気を招くものでもある。

 

さまざまな場所がそれぞれ単独で存在していると考えたとしても、止まることのない川の流れが単独であるものを結んでいる。