毎年、打ち上げ花火の撮影をしているのだが、けっこう何年もやってきたので、花火撮影に関してこれまでわかったことや感じたことをまとめたい。

レクチャーなどという大それたものではなく、個人的な覚書レベルだ。

 

【これまでの基本撮影データ】

(1) 三脚+ボールヘッド使用

(2) ISO: 100固定

(3) 絞り値: 8から11

(4) シャッター速度: BULB

(5) ホワイトバランス: 電球 (呼称はα7Sの場合) 

 ※ やや青っぽく写る。赤っぽくしたいなら太陽光モード。AWBでも良さ気?

(6) 焦点距離 :ズームレンズ使用の場合でも、ほぼ500mmで固定

 ※ 山の中腹で、かなり遠方の花火を、ほぼ真横位置から撮影したいため。

 

花火写真が他の写真と決定的に違うのは、時間軸の存在だ。

一枚の写真であるにもかかわらず、ある瞬間を切り取ったものではなく、開始から消滅までのすべてが写り込んでくる。

 

つまり花火写真とは、過去から未来まで、一画面上に同時に存在するという、現実世界ではあり得ないものなのだ。

シャッターを切っただけでは、どのように写っているのかわからない。後で時間軸上の全体を見て、初めて形として分かるものとも言える。

 

2013年に初めて撮影したのだが、それでハマった。独特の絵画風味が出てくるのだ。で、恒例の行事?になったのだ。

 

 

 

 

 

撮影は三脚でカメラ位置を固定してのBULB撮影で行っている。

この場合、花火が画面のどこに入るかは、ギャンブルのようなものになる。

画面内に上手くハマるかどうか、何発か打ち上がるのを見て、花火の大まかな位置を前もって確認し、想定した位置にレンズを向けておくしかない。

 

もちろん、当然のように「外れ」が出る。次の3枚は、花火の中心が画面上方に外れ過ぎていて、下半分しか写っていない。

しかしそのように写ったとしても、必ずしも失敗とは言えないだろう。

「出たところ勝負」になるのだが、意図した構図から外れることによって、未知の絵を見つけ出せる可能性も出てくるのだ。

 
 
 
 
 

花火撮影におけるBULBは、「どこで開始して、どこで止めるか」の判断が必要になる。基本的には、花火3発程度までが無難だと思う。

 

BULB撮影の際は、ファインダーを覗いていても意味がないので、被写体を直接肉眼で見ながら、ここかな?と思ったあたりでシャッターのリモコンボタンを押す。そうしてもう一度、ここかな?と思ったあたりで撮影状態を解除する。

 

シャッターを開きっぱなしにする時間が長くなると、カオス写真になってしまう。

もちろん、カオスでどこが悪い?と居直れる絵だって拾えるだろう。

固定的な美意識にこだわらなければ、「正解などない」と考えた方がよいと思うのだ。

 

 

 

花火による煙の影響は、撮影上無視できない。煙が滞留していると、花火がクリアに写らなくなることがある。特に向かい風のときは、花火と撮影者の間に煙が滞留し、最悪レベルになりかねない。

煙がかぶったような花火写真は、クリアではないから失敗作扱いになりかねない。

 

しかし本当に失敗なのか。

「自分は幻想世界を撮ったんだ」と解釈することも出来るから、居直りたい人?にはお薦めの状況ともなるはずなのだ。

 

 

 

 

風が強い場合など、風によって花火の形が歪められてしまうという問題が出て来る。

正攻法で考えるなら、真円の花火が綺麗に開いている形がベストと言えるだろう。

 

しかし歪むことによって、異世界の異形のエルフのような姿にもなってしまう。

これをどう考えるかだ。

もちろん、日本異界ハンター協会(会員数4名:無給)の会員なら、待望の状況と言えることは疑いもない。

 

 

 

 

 

打ち上げ花火撮影の場合、都市の夜景など、背景の扱いも重要になってくる。

しかし花火単独の「引っ張り型?撮影」の場合、背景は入りようもなくなる。

 

たまたまの偶然になるのだが、次の写真は背景に、雲に隠れかけた満月が見える。

こんな場合、ラッキー!と、喜ぶしかないだろう。

もし、引っ張り型の撮影で背景が見つかった場合、かなりユニークな写真になるから、恰好のチャンスを無駄にしたくはない。

 

常に「意図を越えた偶然」が大きく作用してくるのが花火撮影だと思う。「日頃の行い」を噛みしめざるを得ないではないか。

 

 

 

で、オマケになるが、これまで作成したYouTube動画のあちこちの場面でも、花火の写真をいろいろと使った。

音楽と花火の融合も、なかなか楽しいのだ。

 

Franz von Suppé "The Beautiful Galatia - Finale"

 - スッペ "美しきガラテア序曲 - フィナーレ" 指揮ステファン・ラホニ - VINYL

 

 

Overture "1812 - Finale" with Roar of Cannons - SILVESTRI / TCHAIKOVSKY

 - シルヴェストリの”1812” - VINYL

 

 

Maurizio Pollini / Frédéric Chopin "Etude Op.10 No.1 in C major - VINYL

 ポリーニ -ショパン -エチュード