ほととぎす声よこたふや水の上

                  松尾芭蕉

 

水辺を歩けば、水面は穏やかに、初夏の明るい風が吹き抜けてゆく。

── 木々はまどろみ、目を閉じかけているかのようだ。

 

ふいに、ほととぎすの仲間を呼ぶ声が、水面のかなたにまで響き渡る。

── いつも鋭い声で鳴くのだな、── それがきみの歌なのだろう。

 

午睡など、許してくれそうにもないのだな、── ここで立ち止まる旅人たちに。