重なる記憶が結び付ける、異なる二つの領域 - 福島県 矢祭渓谷、常陸太田市 根岸の溜池
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福島県と茨城県の県境にある矢祭町に行った。帰路には常陸太田市の小さな水辺の公園に立ち寄ったのだが、睡蓮の花が咲いていた。
普通に一周歩いて、五分もかからないような静かで素朴な公園だ。名前が”根岸の溜池”だということすら、知ったのはごく最近のことだった。
山からの湧水が流れ込んでいるここは、灌漑用の池というよりも、湧水に満たされて湿生公園になったような趣がある。
見知らぬ人に声を掛けられた。
「いい写真、撮れましたか?」
「いや~、なにが写っていることやら」
彼は、自分は俳句をやっているのだが、誰も知らないようなここが好きで、ときどき来るのだと言っていた。
矢祭渓谷の、ハイコントラストな苔むした岩の記憶が残ったまま、このような場所を歩くと、異なる二ヵ所がそのまま重なって感じられる。
そんなときふと、路傍にひっそりと置かれた小さな宝石箱でも見ているかのような気分になる。
いや、別に宝石趣味があるわけでもない。ただ宝石に囲まれる結果になってしまうのだ。
LPレコードで 101ストリングス ”ドリゴのセレナード” 他 全4曲
- 101 Strings "Serenade / Dorigo" "Nocturne / Chopin" - VINYL