雨の日

大気は淡く曇り、木々が雨に濡れている。

ときおり、木の葉にたまった雨滴が、ばらばらっとまとまって落ちてくる。

傘ぐらいは持ってきている。

 

転んでしまうのは、誰にでもあり得ることだろう。

だが最悪、致命傷に至るのは、そこに何があるかなのだ。

 

生息地

ある限定的な環境にだけ生きている生物もいる。

そこでしか生きられないことを、知っていても、知らなくても。

 

音律

立ち迷った森に、聞こえているかどうかすら定かではない音律が流れている。

誰かを招いているのだろうか。

ときおり吹く風が、そんな音律を一時的にかき消してしまうのだが。

 

建物

多様な素材が使われ、どれかが欠けても、その建物は問題を内包することになる。

雨漏りが好きなら、その限りでもないが。

 

深夜

この時間帯にも遠くから電車の音が聞こえてくる。終電は行ってしまったから、貨物列車なのだろう。

鉄の車輪と線路による、規則的な音。── 速度や重量という概念までが運ばれてくる。

 

海賊 (ユベール・デシャン著:クセジュ文庫)

学者が書いたものとは思えないほどに、中世の海賊たちの姿が生き生きと描かれている。

海賊船の名前まで書かれているのだ。「彼らの船の名前は、無慈悲号と無情号というのだ」など。

日本の海賊”倭寇”に関しては素っ気ない。「彼らは制服を着ていた」程度のものだ。

 

肉体的な感覚が鈍れば、夢はどこまでも羽ばたいてゆけるという事なのだろうか。

しかもそこに、現実の味があると来ている。

 

ギャンブラー

負けて財産を失っても、誰かのせいにしないモラリストたち。

 

通り過ぎた嵐

日の光がさしてくる。鳥たちの声に送られるかのように、水流はその跡だけ残して消えてゆく。

遠ざかるざわめきと、戻ってくるざわめきと。