高台
展望の良い場所なのに、あの家の屋根に遮られて、決して見えないものがある。
そんな屋根が、今日も陽の光を受けている。
 
残されたもの
やらないままに残してしまったものが、積み上げられたままその存在を忘れられてしまい、制約という壁に変容してしまっている。
 

雨月物語 ”白峯”

著者の上田秋成は、一見、崇徳院に批判的な書き方をしていながら、崇徳院の立場をすべて描き出している。
そのような形の肯定もあるのだろう。
 
白い月が青い空の中に浮かんでいる。
カーテンが開かれたあの窓越しに見えるのを、知らないままだった。
 
現象はどのような姿も取る。忘れるなと言いたげなものが、そこで訴えかけている。
それを忘れてしまえば、ろくなことが無いことぐらいは分かっている。
海が近くになくても、海鳴りはいつでも響いている。
 
土産にもらったもの
東南アジア土産の、彩色を施された木彫りの蜥蜴と、東欧土産の陶器の鳥とが隣りあって置かれている。
なぜかいつも隣同士だ。
 
知らなくてもよい事
ある神社の境内の片隅に、石造りの小さな倉庫のようなものがある。その扉は鎖で閉じられている。
さらに周囲には鉄柵があり、鉄柵の扉もまた鎖と錠前とで閉じられている。
 
予定
それが次から次にやってくることがなければ、無理に作るしかなくなってしまうだろう。
そこに異なる性質の予定が生まれてしまうわけだが。
 
純粋さ
なんでもまともに受け止めてしまうからこそ、招く苦しみもあるだろう。
 
引き潮
浜辺に倒木が半分砂に埋もれている。波の跡を残して海原は遠ざかってゆく。
遠くに水平線が広がっている。
 
 
 
 

 

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