貝殻
殻が守っていたはずの、貝の本体はとっくに消えてしまっている。
硬い殻だけが、波打ち際で白く光っている。
歌
欠落への思いが、言葉になり、歌になる。
それなら、欠落がないところで生まれる歌があるとするなら、それは、全周波数帯域が含まれる、ホワイトノイズのようなものなのかもしれない。
階段
上から下までほんのわずかの距離しかなくても、それぞれの段から見えるものは、意外なほどに異なったものになる。
「雑木林の博物誌(足田輝一)」から
心の雑木林は、私の身の滅びる日まで、消えることはない。
生産性
日本の生産性が低いことを嘆く報道を見かけた。
しかしその”順位付け”には大きな欠落がある。日本のモノ作りやサービスなどのクォリティを無視しているのだ。
日本以上に生産性が高いとされる国のモノ作りやサービスなどが、もし日本レベルのクォリティを要求されたら、現在の生産性を維持できるだろうか。
データ解析のためのパラメータ不足によって、杞憂が悲観論に成長してしまう実例だ。
雨
使われない道具が雨に打たれている。嘆くこともなければ、放置したものを恨むこともなく。
コンビニエンスストア
U 「コンビニエンスストアの価値って、どんな時間にも気軽に必要なものが買えるというだけでなく、トイレがあるってことも、かなり重要だよな」
── トイレ使用はもちろん無料だ。金銭の授受のないところにある「価値」。
静止画
エネルギーとは、時間の概念があってこそ成り立つ。
エネルギーに満ちた静止画には、かならず過去も未来も描き出されている。