森の中の道
陽光の中に明るく広がっている、落ち葉の降り積もる道。
誰かとすれ違うとき、挨拶が交わされることが多いのが特徴だ。
 
地上の生き物は海からやって来たが、生存の場を地上に移したとき、海は巨大な異界となった。
つまり故郷が異界となったのだ。
 
オルフェウス
吟遊詩人であった彼は太陽神アポロンを最高神と考え、ディオニソス的な熱狂を拒絶した。
そんな彼は、ディオニソス的な”狂乱の女たち”によって引き裂かれ、命を落とした。
彼女たちはどんな理由でオルフェウスを引き裂いたのだろうか。
”敵”を引き裂いたのか、”求めている者”を引き裂き、手に入れようとしたのか。
 
冬の窓
日当たりのよい窓を閉めれば、陽光によって室内の気温が上がってゆく。
空気を、どこにも行かないように閉じ込めることによって。
 
自分を映す鏡が欲しいなら、今、最も聴きたい音楽を想起すればよい。
 
発見
それはふいに訪れる。
これまで見えなかった地平を示しつつも、そこを終着点にさせて拘束してしまおうと、意地の悪い意図をもちながら。
 
容器
容器は内部の何もない空間によって、容器として成り立つ。
古代中国では王の理想像として、知力や武力に卓越していることよりも、「そんな空間を内に持っていること」を上位に置いていた。
もちろん理想像とは、それがあまりにも希少だからこそ理想像となるのだが。
 
なぜなのだろうか、狼が神格化されることが多いのは。
 
羽生が深町に (神々の山嶺:夢枕獏 / 谷口ジロー)
登山家サー・マロリーが「あなたはなぜ山に登るのか?」という質問を受けたとき、「そこに山があるからだ」と答えたことに対して。
「少なくとも俺は違うね、そこに山があったからじゃない、ここにおれがいるからだ」
だがマロリーの言葉と羽生の言葉の本質は同じなのだ。そこにあるのが自我の究極だからだ。
 
寒い朝
冬の陽光が満ちてくる。
烏が仲間たちと鳴き交わしている。他の季節となにも変わることなく。
 
 
 
 

 

TCHAIKOVSKY - "Symphony No.5 - Finale"

 - Rudolf Kempe - Berlin Phil. - [ Vinyl record ]