浸食されてゆく断崖は止まることなく海神に語り続ける - 高萩市 高戸小浜海岸、ささき浜
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久しぶりに、高萩市の海岸線をめぐった。具体的には高戸小浜海岸、ささき浜、この二ヵ所を繋ぐ”万葉の道”だ。
二つの海岸は隣接しているのだが、間にある断崖が遮る形になり、浜沿いには直接移動できない。もし移動したければ、断崖上にある”万葉の道”を辿ることになる。
江戸時代に高戸小浜海岸は、この地域の年貢米を水戸に送るための基地となっていた。
地元の人の話によると、周囲の崖に開けられた洞窟は江戸時代のもので、付近の村から港に運ばれてくる年貢米の、一時的な倉庫だったそうだ。
船への積み込みをスムースに進めるための、バッファとしての役割を担っていたようなのだ。
つまり高戸海岸の崖には波や風雨の浸食の痕跡だけでなく、人為によって彫り込まれたものまであるのだ。
そこでの風景の絵模様は、海という巨大な異界に向けられた、人の世界からの語り掛けのように思えてくる。
それにしても、海に行けば岩や崖も被写体になるわけだが、こんなに大量?に岩や崖ばかり撮ったのはおそらく初めてだ。
岩や崖が”大峡谷や河”、”中東あたりの荒野の岩山”のミニチュアであるかのようだと、ふと感じてしまったのが運の尽き?だった。
感じてしまえば、巨神兵たちの中をめぐり、気が済むまでその形を探すしかなくなってしまうだろう。