むかし見し庭の小松に年ふりてあらしのおとを梢にぞ聞く

 

              西行法師 新古今和歌集 巻第十七 雑歌中 (1677)

 

 

この松がまだ小さかったころから、庭にあったことを覚えている。

── もう、昔のことだ。

成長に伴って、いまでは幹も枝も重たそうに、すっかり曲がってしまったのだな。

 

あれから随分、時が流れた、── 松よ、きみはどのような日々を送ってきたのか。

だが、なにも語らなくても、きみがこれまで受けてきた嵐の音は、その梢に響いている。

 

 

 

 

Beethoven "Symphony No.5 "

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