HOLGA LENS 1:8 HL-N f=60mm (HOLGA)

一部 SOFT CROSS (KENKO) 併用

 

 

 


このレンズは、中国の中判カメラ「ホルガ120」シリーズに搭載されていたノンコートのプラスチックレンズだ。

 

実際に使ってみると、それなりにしっかりした描写になるのだが、世評でこのレンズは、ともかく短所が多いとされている。

解像度が低く、画面四隅の崩れが激しい。さらに逆光にも極端に弱いなどだ。

 

それならなぜこのレンズが、レンズ部分だけ独立して一眼レフ用として販売されているのか。

欠点とされるものが”強い個性”として受け止められ、肯定される時代に移行しつつあるからだ。

 

このレンズの多くのユーザーは、逆光撮影のような、レンズにとって過酷な被写体を意図して選び、そこで派手に崩れる描写に、「これまでに見たことがなかった美しさ」を求めているだろう。

 

いつの時代でも、高い評価を得て脚光を浴びるのは”高性能”レンズだ。

しかしLo-Fiレンズはその反動であるかのように、これからも根強い人気を持ち続けるだろう。「優等生だけが評価される時代」は、すでに終わっているのだ。

 

とは言っても、実際に使ってみるとそれなりにしっかりした描写をするのだが。

 

実使用に当たっては、レンズの前面にフィルター枠を取り付けた。このレンズはそういうものを何も持たないのだ。

そうしてKENKOの特殊効果フィルター「SOFT CROSS」をときどき使った。

”紗”が織り込んである独特のフィルターだ。使用した写真は一目で相違が分かる。

 

被写体は、日立市の「市街地から少し外れた場所」「幹線道路から少し外れた場所」だが、それほど外れているわけでもない。

言わば、日常の中で正対しているのではなく、常に背中合わせにあるような場所だ。

そんな場所は、このレンズが受け入れる光をどれだけ放っているだろうか。