雨の色彩
秋になると「水色の雨」という感覚がなくなる。個人的には、それは春や夏のものなのだ。
色彩というもの。
海風
海から2km以上離れているのに、年に数回、風向きで潮の香がやってくることがある。
蝉
蝉は非常に長命な昆虫だ。もちろん、地中にいる期間を含めて。
しかしなぜ、そこまで長く地中に居る必要があるのだろう。
一年だけ地中に居て、翌年には羽化してもよさそうなものなのだが、その期間の長さの意味がよくわからない。
異界
生まれ落ちて最初に感覚器官が機能し始めたとき、すでにそこに広がっているもの。
未来
量的に無限である概念。だからそれは何にも増して、最も豊かなものなのだ。
それが有限に変貌したとき、そこで色褪せるものは何なのだろうか。
コミック 「拳児:(藤原芳秀+松田隆智)」 から
恐怖を知らない人間は、皆、未熟なうちに滅びてしまう。
黒い老猫
その店の奥の小さな座布団の上で、いつも眠っていた。ほとんど眠りっぱなしなのだと言っていた。
その座布団の色が赤で、花柄の刺繍が施されていたことを思い出した。
古都
どのような場所にも、澱のような黒い陰りを感じるのはなぜなのだろうか。
積層する歴史がもたらす、人の思いの気配なのだろうか。
”TOMORROW /Ozzy Osbourne” から
おれは追っている、空から崩れ落ちたすべての虹を
壁
閉じられたままの本。
長く、開くことを忘れていた、壁の上の方にあるあの窓。
