夏夜追涼 楊万里
夜熱依然午熱同
開門小立月明中
竹深樹密虫鳴処
時有微涼不是風
熱の中の日々、── 陽光はすでに遠ざかったにもかかわらず、熱は夜闇の中、いまだ残っている。
この日々、── 別の場所を求めよう、── 閉ざされた門を開き、月明かりの中に一人たたずむ。
竹林は深く、木々もまた黒い混沌となって広がっている。── 月の光も届かないほどに。
── ただ虫の鳴く声がひびいている。
ときおり感じる微かな涼、── しかし風が涼を運んできているわけではない。
夜闇の奥から寄せている声、── この想いが覚めるそのときに、この身が涼を受け止めるのだ。
