夏意   蘇舜欣

 

別院深深夏簟清

石榴開遍透簾明
樹陰満地日当午
夢覚流鶯時一声

 
 
隠された庭園の、離れの部屋、── 竹の敷物は涼しげな感触を伝えてくる。
 
閉ざされた簾から透ける紅色は、見知らぬ異国の、明るい絵画のようだ、── 満開の石榴の花々の色彩は。
 
木々の影は地に広がり、なにかをささやきかけている、── この、夏の日の正午に。
隠されたシークレットガーデンで立ち止まれば、── これも夢なのか。
 
ふいに鶯の声が呼びかけてくる、── 夢から覚めよと、── 命よ、ふたたびその翼を広げよと。