今回ご紹介するYouTubeは久しぶりにクラシック音楽、バッハのフルート・ソナタ集全曲+無伴奏フルートソナタだ。LPレコード2枚組で収録時間は1時間半を超える。
6曲のフルートソナタ中、BWV1030は数あるフルート音楽作品の最高峰、最高傑作とされている。
また、BWV1031と1033は後年の研究によって、バッハの作品ではないことが明らかになった。しかし美しい作品であることに変わりはなく、いまも多くのフルーティストたちによって演奏されているのだ。
演奏はペーター - ルーカス・グラーフ。20世紀を代表するフルーティストのうちの一人だ。
ここでご紹介する演奏は旧録音盤であり、後に彼はクラーヴェスに再録音をしている。
そのため、この旧録音盤はCD復刻されることもなく、忘れられた存在になっていると思うのだが、個人的にはこちらの演奏の方が好みだ。
フルーティストそれぞれに演奏スタイルがある。たとえばJ-P.ランパルは変幻自在な絢爛たる表現を特徴とし、A.ニコレは表出するような意志的な造形力を特徴とするだろう。
グラーフはそのいずれとも違う。”純化された集中力が生み出す美”とでも言える、独特の音世界を持っていると思う。
1929年、スイスに生まれた彼は、フランスの国立パリ音楽院でマルセル・モイーズに師事、フルートを学んだ。
同じ1929年生れで、パリ音楽院でマルセル・モイーズに師事してフルートを学んだ同門に、あのレイモン・ルフェーヴルがいる。ちょっと驚きだ。
今回、作成していて、レコードジャケット写真以外に風景写真を、2:00あたりから1枚挟んだ。
10年ほど前に撮影した尾瀬ヶ原湿原の写真だ。なんとなくだが、尾瀬の風景はグラーフの演奏によく似合うと思うのだ。
木道横のベンチに座り、ぼんやりと湿原を眺めているときのBGMになりそうだ。
この記事で聴くよりもYouTubeにジャンプして再生した方が、画面が大きくなってナイスかもしれない。
居ながらにして尾瀬ヶ原湿原のベンチに、1時間半以上も腰掛けている気分になるのだから、「恐るべし、YouTube」と思うのだ。
なお、最後にBWV1013をクスタフ・レオンハルトがチェンバロ演奏したものを加えた。
いや、作成しているうちに思い付いたのだが。
J.S.バッハ ”フルートソナタ集” ペーター - ルーカス・グラーフ(旧盤) - VINYL
BWV 1030 ロ短調 (0:00)
BWV 1031 変ホ長調 (19:33)
BWV 1032 イ長調 (31:02)
BWV 1033 ハ長調 (44:19)
BWV 1034 ホ短調 (54:30)
BWV 1035 ホ長調 (1:10:42)
BWV 1013 イ短調 (1:24:18)
+ BWV 1013 (チェンバロ バージョン) グスタフ・レオンハルト (1:38:06)
2012年のグラーフの演奏