SMC PENTAX-A ZOOM 1:4/70-210 PENTAX
1980年代に入り、一眼レフカメラの露出制御方式はプログラム式にシフトしていった。
1983年、ペンタックスも絞り優先AE方式対応であるMシリーズから、プログラム露出対応のAシリーズに移行した。
このレンズもその時代のものなのだ。ペンタックスはMシリーズでレンズやカメラボディのコンパクト化を追求したのだが、このレンズは普通にゴツい。
だが、無理にコンパクト化を図り、収差補正のためにエレメント枚数を増やしても、描写面でのデメリットが出ることもある。事実、単焦点レンズでもMシリーズになってから画質が落ちたとされるレンズも存在する。
このレンズの写りはおおむね高評価だから、ゴツくて正解と思える。
このレンズとは海に面した神社、酒列磯前(さかつらいそさき)神社に行くことにした。創建が西暦856年の古い神社だ。
酒列磯前神社は白亜紀の岩盤の、岡の上に立つ。見渡す海岸には白亜紀の地層が露出しており、独特の景観を見せている。
酒列磯前神社があるエリアは、1,200年ほど前に成立した万葉集にも登場する。
酒列の岡に粟蒔き愛しきか駒は食くとも我はそともはし
彼らも白亜紀の地層を見て生きたのだろうと思うと、なんだか楽しくなってくるではないか。
白亜紀とは約1億4,500万年から6,600万年前の期間を指す。この途方もない数値を前にしては、1,000年つまり0.1万年など誤差の内にも入らないだろう。
白亜紀の岩礁から見れば、万葉の時代の人々も現代人も、同じ時代に生きているようなものなのだ。
これではついつい神社の周辺まで、長いこと歩きたくなってしまうではないか。