古代の影宿る、巨石群の中の道を (2) - 日立市 竪破山、黒前神社

 
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久しぶりに竪破(たつわれ)山の黒前(くろさき)神社に行った。神社の周辺には神仏混淆の跡があちこちに残されており、歴史に翻弄されてきたことがうかがえる。

だがこの領域一帯はもともと山岳信仰、巨石信仰に関連する修験道の地だった。神社や寺院ができる以前から、山全体が古代からの聖域だったのだ。

 

この日、山道ですれ違った人はたった一人だった。

強い風が吹く中、杉の木の高いところから、かすかにギイギイと幹がきしむ音が聞こえていた。

どこか遠くで、木の板を木槌で打っているような音が、カーンカーンと長く響いていた。

川の流れるような音が聞こえていたが、川の音ではなく笹薮が風に吹かれる音だったのかもしれない。

 

杉木立の中に「最後の修験僧の墓」がある。彼は、日々そんな音の中にいたのだろう。

彼はなにを求めていたのだろうかと思う。

このような場所で一人で暮らすというのは、精神力が強いとかいうようなものではなく、なにかもっと異種のものが必要だと感じるのだが。

 

竪破山のほぼ山頂にある神社までの、巨石の間を縫うような道を歩いていて、ふと、去年の10月に行った奥日光の湯元から切込湖、刈込湖に向かう道を思い出した。

植生などまったく違うのだが、どこか似ていると思ったのだ。

 

 

山頂へアクセスするルートは二系統あるが、片側は杉林が大規模に伐採され、ほとんど禿山になっていた。岩盤の上にある、表土が薄い山の木々が喪失していたのだ。

 

ありえないような光景だった。

そちらへの入り口には「立入禁止」の看板があるだけで、伐採の目的など、見回した範囲には書かれていない。ネットを見ても広報が見当たらない。

 

探し方が足りないのだろうか、伐採後に何をやる予定なのか不明なままなのだが、それが何であっても、古代の神々は滅びはしないだろう。

 

 

なお、この記事の写真は前回投稿した 竪破山の記事と、同じ日に撮影したものだ。たくさん撮りすぎたので、写真がだぶらないように、記事を二つに分けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Hildegard von Bingen - O Rubor Sanguinis/Favius Distillans [Sequentia]