明るい森の中の道に精霊たちは影となって - 日立市 小木津山自然公園、川尻海岸
2月も終わりに近い。日々暖かくなってゆくのだが、そうなると殺風景と思われた景色を見れるのも、あとわずかなのだと思ってしまい、いきなり名残惜しくなる。ともかく気が済むまで、少しでもそこでの絵を残しておきたいのだ。
葉の落ちた森は明るく、市民の憩いの場となっている自然公園を歩き、帰路には海岸線のルートを選ぶことにした。
肉眼で見れば木々の影も明るく爽やかなのだが、撮影に際してはローキー補正をガンガンかけることが多いから、「明るく爽やか」という感じは皆無になる。しかしそれで見えてくるものがあることが楽しい。
一時間早く来ても遅く来ても、影の位置は変わり構図は変わってゆく。そんな中を歩いていると、ふと森の影が生きているかのように錯覚することがある。
つまりそれを拾い出してゆきたいのだ、森の精霊たちの姿を。
「久しぶりに、ここに来たね」。
「うん、もう少しすると見れなくなるものがあるから」。
「自分が通せんぼされていることに、気がついていなさそうだね」。
「通せんぼ?、影が通せんぼできるとでも思っているの?」。
「阿呆のくせに、生意気言うんだね」。
「うるさいんですけど」。