初冬の色彩は地に降り積もり - 常陸太田市 西金砂神社
あいにくの曇り空だったが、常陸太田市の断崖上にある西金砂神社に行った。
参道の横、土手上のあちこちに祠があるのだが、祠の先は断崖だ。
参道と断崖の境界は木々に覆われているから、参道だけを歩いていれば断崖には気がつきにくい。
知らず歩いている数メートル横に、見えていないだけの断崖があるということが、なんとも不思議なことのように思えてしまう。
近隣に宮司さんの家はあるが、他に人家はかなり離れた山裾まで無い。
西金砂神社の創建は平安時代の初期、西暦で言うなら806年だから、1200年以上も前からこの神社は、一般の人家からは隔絶した場所にあるのだ。
入り口の鳥居近くにあるイチョウの巨樹の葉は散り始めていたが、そもそも葉の量が圧倒的に多いから、残っている葉もまだまだ多い。すでに黄に染まる地を、これからも染め上げてゆくのだ。
その隣りにはサワラの巨樹が、まるでイチョウと対であるかのように、枝を干渉させながら並び立っている。高さは同じくらいだ。
あまりにも長い年月、この二つの巨樹はなにを語らってきたのだろうかと思ってしまう。
樹種はまったく異なるのだが、なにか、イチョウが女性、サワラが男性に見えなくもない。サワラの方が押されるように、やや傾いているのだが。
いや、ご神木に対して、あまり不埒なことも言えないが。