朝霧や立田の山のさとならで秋来にけりとたれか知らまし
中納言中将に侍りける時
家に山家早秋といへる心をよませ侍りけるに
法性寺入道前関白太政大臣 新古今和歌集 巻第四 秋歌上 (302)
朝霧が出ている。── 風の神が人の世界に、謎をかけているのだ。
朝霧は神々の山を隠し、季節の女神の姿を隠し、── 隠されているものを、誰が知ることができるだろう。
だが、風の神をまつる山の里だけは知っている。
秋が訪れたことを、── たとえ朝霧で隠されていても、あの山から龍田姫が、地上に秋の彩りをまとわせるために、降りてきたことを。
