今回、Youtubeにアップロードしたのは、ひさしぶりにジャケ買いをしたLPレコードからのものだ。
ジャケ買いとは、「ジャケットデザインに釣られて、中身はなにも考えずに買う」という、なかなかお洒落な購入手法だ。
いや、経験者なら御存じだろうが、これで外すようなことは滅多にないものなのだ。
もちろん、「滅多に」だから、たまにはとんでもない事にもなるのだが。
ジャケ買いしたLPは、フィリップ・アントルモンによるモーツァルトの「ピアノ協奏曲第20番+23番」だ。今回、第20番の第3楽章をアップロードした。
「コンサートホール・ソサエティ」レーベルがリリースしたこのレコードは、1957年の録音だから音の古さは否めないのだが、なにしろジャケ買いだからそんなことはなんの問題にもならない。
ポップアート系と思われる画家が描いたジャケットデザインが、すっかり気に入った。
誰が描いたのだろうか。記載はないのだが、絵の中に「Kezer」という文字が見える。これが画家の名前なのだろうか。
肖像画というものがある。同時代の画家が描いた肖像画はほぼ正確なものだろうが、時代が下るにつれ、画家の思い入れが強く出てくるものだ。
モーツァルトの肖像なら、「貴族のおぼっちゃま風」や「偉大なる探究者風」などを見たことはあるのだが、このジャケットに描かれているモーツァルトは、それらのいずれとも異なっている。
どこか、チェーザレ・ボルジア的な魔性すら感じさせるモーツァルトなのだ。
この絵において、モーツァルトは顔立ちがふっくらと描かれている。これを描いた画家は、モーツァルトのあのような最期を断じて受け入れていないのだろう。
「史家たちが言っていることなど、ただの錯覚だ」。そんな思いが伝わってくるのだ。
強いて難を言うなら、ここに描かれているモーツァルトのイメージは、収録されているピアノ協奏曲より、むしろ「交響曲第41番”ジュピター”」に近いものだと思う。
同じコンサートホール・ソサエティ盤なら、カール・シューリヒト指揮による「ジュピター」があるから、曲はそちらを入れてしまう手だってありそうだ。
いや、たとえ理由があったとしても、それを始めれば、ひたすらおかしな方向にむかってゆくだけの話だ。
整合する理由を見つけ出して、おかしな方向にむかい、しかも「自分はおかしくない」と言い張る状況だけは避けなければならない。
で、見事な?解決策を見つけた。この記事の末尾に、さりげなくカール・ベーム指揮の「ジュピター」を置いたのだ。これならおかしいと思われずに済むだろう。(^^;
それにしても、人物画と音楽とは別の概念のはずなのに、それらが同等に重なるように関わっているのには驚く。
あるいは、普通の記念撮影かなにかであっても、それぞれの人にそのまま重なっている音楽というものがあるのかもしれない。
Mozart /Entremont
"Piano Concerto No.20 in D minor, K.466, 3rd Mvt." - [ Vinyl Record ]
