写真撮影において、いろいろなレンズを使っているのだが、やたらと数を増やしてしまった。その過程で、種々のレンズ評価記事なども見てきた。

 

そこでの「良いレンズ」の条件というのは、「シャープで解像度が高い」「発色が良い」「コントラストが高い」「ボケ味が良い」あたりに、ほぼ集約されているように思う。

というか、それが常識化されているような印象を受ける。

 

もちろん、何を良いと考えるかは人それぞれなのだが、それらの特性だけが重要なのだろうか。

個人的に何を良いと考えているかというと、「階調の豊かさ」、つまり濃淡や色の変化をなだらかに表現しているかどうかなのだ。


階調の豊かさは、質感の生々しさや立体感描写に大きく影響する。

それに優れていれば、「触れればその温度まで伝わってくる」ような印象を受けるし、「まるで立体写真である」かのような印象すら受けることがある。

 

百聞は一見に如かずだ。たとえば次の写真は、AF MACRO 1:2.8 f=90mm (シグマ)  によるものだ。

白飛び、黒潰れの間に、実に豊かな階調が偏りなく存在している。

「階調の豊かさによる質感描写や立体感描写」というものがよくわかると思うのだ。

 

 

このレンズは、いわゆる「タムキュー」に惨敗したレンズなのだが、階調が豊かなレンズの特徴である描写の柔らかさがあり、個人的には非常に優秀なレンズだと思う。

 

階調が豊かなレンズは、高級で希少なものなのだろうか。

けっしてそんなことはない。単焦点のオールドレンズなどにも、そういうレンズはけっこう多い。

さらに、入門用の古いコンパクトカメラについているチープなレンズにさえも、そういうレンズはしばしば見受けられるのだ。

 

自分の好みの描写をするレンズが、チープな製品の中にもけっこう含まれているなど、なんとも慶賀すべきことではないか。

次の、【ギャラリー】レンズご紹介&フォト」で、 各社レンズ別の写真記事を扱っている。

 

 

特に評価されているわけでもないと思えるレンズが、「シャープで解像度が高い」「発色が良い」「コントラストが高い」「ボケ味が良い」だけが重要ではないと、意地?を見せているようで、なんとも楽しくなるのだ。

 

 

 

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