C.C Auto Petri 1:5 f=300mm PETRI CAMERA CO.,INC.
ペトリカメラの望遠レンズだ。ペトリカメラの前身、栗林写真機械製作所は1917年からカメラを製造しているから、早い時期からカメラ製造に着手していた老舗のブランドと言える。
栗林写真機械工業は1962年に「ペトリカメラ」に商号を変更した。
ペトリという名称が独特だが、これはキリスト教の聖ペトロからきているから、そんじょそこらのメーカー名と比較したら罰が当たる。 かもしれない。
ペトリ独自のブリーチロック式マウントは1960年から1975年まで採用された。
この3群5枚構成の300mmレンズは1967年に発売された。単焦点レンズとしてはシャープネスは「まあまあ」と感じるが、階調表現などかなりの水準にあると思う。
他の一眼レフメーカーならカメラのラインナップ更新に合わせて、レンズのラインナップも光学系まで含めて更新することが多かった。
対して、「C.C Auto」レンズは、ペトリの全盛期である中期一眼レフに共通してラインナップされた。
つまり、光学系は長期にわたって、ほとんど変更されることがなかったのだ。
ペトリカメラの機構は、初期からカム軸駆動式を採用するなど独創的だったが、これもほぼ全期間にわたって大きく変更されることはなかった。
つまり技術革新があまりなされなかったメーカーだったと言えるのだが、「誰にでも手が届く低価格一眼レフ」を目指していたため、開発経費を抑えざるを得なかったのだろう。
度重なる労働争議によって、喰い潰されるように崩壊したとされるペトリカメラだが、一般ユーザーのための低価格カメラを作り、それゆえに技術革新が進まなかったことが、崩壊の最大の原因だったと思う。
めっきり秋めいてきた。
天気の良くない日を選んで、水辺でもめぐろうかと思った。福島県の矢祭と、茨城県高萩市の花貫渓谷、およびその周辺だ。
それらをすべてシャッフルしよう。このレンズはどのような絵を見せてくれるだろうか。