寒風に祈りはほほえみ - 北茨城市 浄蓮寺 他
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ふと思い立って、北茨城市の旧常磐炭鉱社宅があるところに、ひさしぶりに行った。1年2ヶ月ぶりになる。
茨城県北部には、常磐炭鉱系や日立製作所系などの木造社宅が数多く残っていた。
しかし東日本大震災以降、急速に取り壊しが進んだ。修繕して今後も使うメリットはなくなっていたのだ。
知る限り、茨城県北部でいまだ旧社宅が残されているのは、北茨城のここしかない。
だが行ってみると重機が入り、社宅群の取り壊しが始まっていた。華奢な木造住宅だ、数日中には消滅してしまうだろう。
まったく偶然のタイミングだった。過去に何度か撮影に来たことがあるのだが、ここを撮影できるのはこれが最後になる。
撮影したあと、そう遠くない場所にある浄蓮寺裏の、摩崖仏のある崖の斜面をめぐった。
いにしえの時代に刻まれた摩崖仏は、風化し尽くすまでそこでほほえんでいるだろう。
寒風の中に、祈りはほほえんでいた。帰路は、海に沿った道を選んだ。