C.C Auto Petri 1:2 f=55mm
ペトリの55mmレンズだ。ペトリは、1970年代の前半まで、低価格一眼レフを販売していたメーカーだ。
当初、社名は「栗林写真工業」だったが、1962年に「ペトリカメラ」に改称した。
このレンズは、金属製のピントリングや新社名である「PETRI」表記、「AUTO」表記などから、1960年代後半?に作られたものと推測される。
ペトリの標準レンズには開放F値が1.7、1.8、2.0のものがあるが、この2.0はその中でも最廉価版の位置付けにある。
労働争議華やかなりしころ、ペトリでは、賃上げを要求する労働者たちのサボタージュが激しかった。
社長ら経営陣がカメラやレンズを組み立て、サボタージュしている労働者に賃金を支払い、会社はかろうじて命脈を保っていた。
しかしついにペトリは、その経営を自称労働者たちに奪われ、「労働者の、労働者による、労働者のための会社」となった。
その後、自称労働者たちによって、カメラへの思い入れをなにも感じさせないカメラが作られ始めた。
写真撮影になんの興味も持たない彼らが作るカメラの売れ行きは、芳しいものとは言えなかった。
「カム軸駆動式」という斬新な設計コンセプトを持っていたペトリのカメラはこうして消滅していったのだ。
旧経営陣が開発したペトリレンズへの好意的な評価をしばしば見かける。
それなら使ってみたい。
しかし、ペトリレンズのEマウントアダプターは普通には出回っていない。そのためマウントアダプターを自作した。
次のリンクが製作手順だ。
ペトリ・レンズの、Eマウントアダプター製作
このレンズといっしょに、いにしえの城址のある街へ行こう。城址は街から離れ、岩の多い山の中にある。
まだ残暑の厳しい中、あの山道をめぐろう。古い碑も階段も、残暑の中にどんな姿を見せてくれるだろうか。
このレンズを作り出したペトリ旧経営陣の思いに、古代の影も微笑みかけてくれるだろう。
J.S.BACH "Triple Concerto in A minor - BWV1044"
- I MUSICI - [Vinyl Record]