Opto-Anastigmat 1:4.5 f=10.5cm
(Rokuoh-Sha - 六櫻社)
このレンズは、六櫻社から1934年に発売されたスプリングカメラ(ジャバラカメラ)「パール」に搭載された、アナスティグマット・レンズだ。レンズの設計製造は「旭光学合資(後のペンタックス)」による。
六櫻社とは、現在のコニカの前身であり、かつてコニカから販売されていた「さくらフィルム」も、「六櫻」から取ったものなのだろう。
入手した雑貨屋では、このカメラを「装飾用の置物」という扱いで店頭に置いていた。撮影するための機材とは、すでに思われていないらしかった。
シャッターは切れず、ボディには錆が浮き出して、指で押せば穴が開くような状態のカメラだった。
しかしレンズは、やや「焼け」のようなものがある以外、問題はなかった。
このレンズを現代の一眼レフ用に改造したのは、かなり以前のことだ。
大昔のこのレンズが、いったいどのような絵を描くのだろうか、興味しんしんだった。
おそらく、ひどいものを予想していた。しかし使ってみて拍子抜けがした。
それがあたりまえであるかのように、被写体を優しげに描き出してくれたのだ。
被写体のエッジは、絞り開放時には「あまりにも、ゆるい」ものだったし、コントラストも発色もかなり地味だった。
それらを数値化すれば、「劣るレンズ」とされるのかもしれない。
しかし、そんな特性は、とくに問題にならなかった。
たとえば、コントラストの高さを欲張りすぎて、シャドーがベッタリと黒潰れするレンズもある。
対して、「ゆるさ」は、多くを豊かに包括する。「黒潰れ」とは無縁なのだ。
こちら、別のカラスだ。(^^;
開放撮影での描写を見て驚いた。
ピントが甘いのは、もちろん私のせいだ。(^^;ゞ
驚いたのは、あくまでもボケ部分、たとえば最後の写真のボケ方だ。
曇天下での撮影が多かったが、光が弱い中での開放撮影は、レンズの欠点がそのまま出やすい。
それは、コントラスト、シャープネスなど数値的に表現できるものの低下だ。
このレンズのあまりにも独特のボケ方は、そんな欠点?のすべてがかかわっているのだろうか。
欠点を見せ付けているのなら、そんな欠点をもっと見せ付けてくれと思うのだ。
「花の写真なら、発色もよく、冴えた写真」とも思えるのだが、あくまでも、「ただの一般常識」なのだろう。
名も知らぬ花々の「ゆるい」絵は、それはそれで魅力的なのだと思う。
もう80年以上も前の古いレンズなのだが、使われるべき場面はかならずあるのだろう。
"Leaving, On A Jet Plain - Where Have All Flowers Gone "
- Betsy & Chiris - [Vinyl record]
Optor 1:4.5 f=5cm (Rokuoh-Sha - 六櫻社)
パールの姉妹機に、「ベビーパール」というカメラがある。パールと同時期に販売されたカメラで、パールのローコスト版である。
このカメラは、ベスト判フィルムサイズの半分を使い、撮影可能枚数を2倍にしていた。
後の35mmフィルムが、2倍撮影できるハーフサイズ判を派生させたように、庶民向けカメラだったのだ。
このカメラの画面サイズは40mm×30mmだ。
35mmフィルムが36mm×24mmなので、イメージサークルに、やや余裕がある。
つまり、フルサイズ・ミラーレスで使うには問題ないのだ。
レンズの構成は、アナスティグマットではなく、トリプレットだと思うが、パール搭載のレンズに比べて、ややメリハリのある描写をすると思う。
ANATOLY LYADOV "Prelude" - TATYANA NIKOLAYEVA
- Анатолий Лядов - Татьяна Николаева
- [Vinyl record]