ずいぶん昔に撮った尾瀬の、古いポジフィルムが出てきた。
これをNIKONのES-1 でネガフィルムに複写し、次に、近所のショップでデジタルデータ化した。
画質は劣化してしまっているのだが、そのときの雰囲気はそれなりに残っていると思う。
この年は、同じ年の夏秋と、二回、尾瀬に行ったのだが、記事を二つに分け、こちらには夏に撮影したものを集めた。
秋の撮影は下記のリンク先だ。
遥かなる尾瀬。
いま、写真を見て、ここに自分がいたのかと思うと、なにか不思議な気がする。本当に美しい場所だと思う。
高原の夏空は、どこかさわやさを感じさせる。
ところどころにある白樺。冬にはこの一帯が雪に埋もれてしまう。
木道の左右にはニッコウキスゲが、笑いさざめくように咲いている。
池塘は無数にあり、逆光線の中、浮島がゆったりとただよっていた。
尾瀬ヶ原湿原の中でもよく知られた場所だ。ここで撮影された写真をよく見かける。
二本の木道の先に、二本の白樺が寄り添うように立っていた。
白と緑と青。この三色による世界が広がっているのだ。
つかの間の夏。陽を受けた水草の葉が笑いかけてくれているかのようだ。
尾瀬ヶ原湿原は、どこまで歩いても、どこにも行き着かないほどに広い。
ニッコウキスゲの群生だ。有名な水芭蕉は、夏にはもう花期を終えている。
人の手の入らない、あるがままの自然の姿が明るく広がっている。
周囲を山々に囲まれたこの大湿原は、人間の歴史をはるかに越える昔から、ゆっくりと形成されてきたものなのだ。
光に満ちた空間。当時ここを歩いて、なにを考え、なにを思ったのだろう。
しかし、もうなにも思い出せないのだ。
木は歩くこともできずにそれぞれの場所におり、しかしお互いが、なにかを語りあっているかのようだ。
水の中を覗き込めば、そこにもさまざまな生き物がいる。冬は雪に閉じ込められ、いま、なにを語りかけてくれているのだろうか。
夏の思い出
こちらには、2013年6月、尾瀬~日光~裏磐梯をめぐったときの写真を収めている。
J.S.BACH "Flute Sonata in B minor BWV1030 - Andante"
Peter-Lukas Graf - [Vinyl record]