本当は。
立ち上がるべきではないのだろう。
砕けてなくなって。それが本当の姿だって。恐怖も痛さも、押し隠したもの全てが自分そのもの。踏みつけられて元の姿さえわからない。そんなガラス片。
だけど。なあ。それを受け入れているならきっと。
「髪を、切ったんだ」
違いがほしかった。
「『俺』を選んだんだ」
区別がほしくて。
「人になりたかった。一人の人間になりたかった」
付属品は嫌だった。
「だから、死に続けてきたよ」
水槽に肉体をいくつも並べた。スペアのある人間なんて、本当は人間といえないのだろうという違和を見ぬふりして。繋ぎ続けた。死に続けるために。
「ああ、そうだね。くだんねぇ」
きっと、終われないけど。
「付属品で、食い物で、終わりは最初から用意されてなくて。始まりを否定されて。でも」
全部。ぜんぶ。
「受け入れられない。それが『俺』だったよ」
笑う。笑ってやる。笑い飛ばしてやる。
誰かのために作られた自分。
食い尽くされるために作られた人格。
その全てをもって。
「立ち上がりましょう。いまここにある証明として」