その年の大晦日は、いつも通り家族が集まり
賑やかな年末になった
父も嬉しそうだった
年が明け
父の血液検査の数値は、徐々に減り始め
ギリギリのラインに近づきつつあった
医師から言われた余命の期限が、頭をよぎる…
母は毎晩、父の背中をさすっていた
そのまま寝落ちすることもあったらしい
その時によく話をして
心の準備をしていたという
「お父さんの人生は幸せやったよな〜
好きなことやって、子供たちもそばにいて
みんな世話してくれて…
こんな幸せなことはないよ」
と、母はよく言ってたらしい
父も「そうやなぁ〜」と、頷いていたという
ある時、父が
「痛みもなくス〜と逝くにはどうしたらええんや」
と…
「すべての人、もの…人生に感謝することやと思う
一瞬一瞬を丁寧に、感謝しながら生きることが大事やと思うわ」
わたしはふと、そう答えていた
父は真剣な顔で聞いていた
少しでも、気持ちが穏やかになれればいいな
と、願いながらマッサージをしていた手に
思わず力が入った
数値のタイムリミットは、それから程なくしてきた