まにまに (9) | Rainbowのブログ

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 象の親子が、舞台から去ると、スポットライトが消えた。そして、ほどなくして再び灯る。しか

し、舞台には何もいない。次第に客席がざわつき、乱暴な声を荒げるものもいた。

 そんな中で、サルの団長の声がマイクからささやくように流れる。


 「ここには、もう一生懸命にやっている仲間がいます。だけど、目で見るだけではその姿を見つ

  けることができません。そこでクイズです。どうしたらその姿を見ることができるでしょう。

  さあ、ごゆっくりぞうぞ・・・」


 たま は ぎん を覗き込む。


 「ねえ、とうちゃん。何言ってるのか さっぱり わからないよ。わかる?」


 「ああ、どういうことだろうな・・・」


 ぎんは 目をつむる。こうでもない、そうでもない。頭でいろいろ考えていると、急に何かが

パタパタと走っている音が聞こえた。ぎん は 急いで目を開けて、あたりを見渡した。しかし、

辺りは皆 目を閉じたり、舞台舞台を食い入るように見つめていて、静寂に包まれている。


 「とうちゃん。土の におい が してきたよ。」


たま は クンクンと鼻をならす。ぎん も 同じように鼻をならす。


 「本当だ。」


ぎんはうなづく。

 客席から 「見えたわ!!」と叫ぶ声が聞こえた。そして、「見えた!!」という声が次々に

客席から弾む。



 「あーん。とうちゃん。早く見たいよ。」

たま が せかす。ぎん は 構わず 目を閉じる。すると、ぎん の皮膚が少し震えた。鋭い
 
鳴き声が皮膚をなでたのが わかった。



 「おおかみ!!」


たま は 驚いて 肩をすくめる。


 「さあ、これが答えです!!」


サルの団長が叫ぶ。


ステージの天井から、色とりどりの花びらが雪のように舞い始めた。花びらたちは、オオカミの

体に抱き着いた。カタチなきオオカミの姿は、花びらをまとい現す。花びらはオオカミの、オオカ

ミは花びらの化身となった。

 オオカミはステージ上をすごい速さで走り、何度も宙返りしてみせた。


 「さあ、この素敵な仲間に拍手を!!」


サルの団長の声に、会場の空気が割れそうほど拍手がなる。


オオカミは客席を見渡してから、遠吠えをした。客に声は聞こえなかった。代わりに、うれしく

も、哀しい声が充分に見え、届いたのだった。





             (つづく)