たっくんが、公園で友達とかくれんぼをしています。
「次はたっくんがオニだよ!」
「うん、わかった。1.2.3…」
数をかぞえ始めると、友達はすべりだいの下や、ベンチのうしろに次々かくれていきます。
「8.9…10!もういいかい!」
「もういいよ~」遠くから声が聞こえます。
「よーし、行くよ。」
たっくんは、うしろを振りむき走り始めます。
すると、スッテーン。ころんでしまいました。
「痛いよ~。わーん。わーん。」ひざを擦りむいた たっくん。目からは次から次へと涙がうまれます。
すると、たっくんの背中にあった かげがにゅーっと のび始めました。そして、かげはたっくんの顔の前にやって来たのです。
真っ黒な かげ はゆっくりと消えていき、すがたが変わっていきます。
髪の毛が長い、クルッとした目の女の子になりました。
女の子は目をパチパチしながら、たっくんを見つめます。
「くすん。君はだれ?」びっくりして、涙が
止まりました。
「あたしはね、おかげちゃん」
「お、か、げちゃん?」
「うん、そうだよ。」ニコッとおかげちゃんは笑います。
「ぼくのかげ?」 たっくんは おかげちゃんに顔を近づけます。
「ちがう!おかげちゃんだよ。たっくんが、泣いていたから、たっくんのかげに えいっと飛びこんできたのさ。」
腰に両手を置き、ふんっ と少しだけ いばっています。
「さあ、たっくん。いたいのいたいの 飛んでけ~!」
おかげちゃんは 、お母さん指をぐるぐる回し、エーイとお空を指さしました。
「あれれ、本当だ。痛くない!」
たっくんはひざを よしよし します。
「そうでしょ。そうでしょ。良かった。また たっくんが困ったら来るからね。」
おかげちゃんはニカッと笑います。
おかげちゃんのうしろにユラユラと黒いかげ が あらわれました。
「またね。バイバイ!」
おかげちゃんは手をふると、クルッとうしろを向き、かげに飛びこました
。
そして、おかげちゃんが飛びこんだかげは またゆっくりと たっくんの足元に戻りました。
「おーい、たっくん。早く見つけてよ~!」
友達の声がします。
「はーい!」
たっくんは急いで立ち上がり、痛くなくなった足でみんなを見つけにいきました。
おかげちゃんって不思議な子。
よく かげ みてごらん。
手をあげてないのに かげ ばんざいしていない?
その時はそーっと呼んでみて。
「おかげちゃん」って。
きみに会いに来てるかもしれないよ。