「お前ら、オイラが狙われるとわかっていたのか?」
狙われると知りながら、黙っているなんて… 、こいつらは鬼か?
鮎川が護衛に付いていたとしても、狙われる張本人のオイラが知らないのは危険じゃないか!
「オイラは誰に狙われているんだ?
理由は?」
友里と鮎川は顔を合わせたまま口を開こうとしない。
「拳銃を発砲されたんだぞ、この安心安全な日本で。
オイラは清廉潔白に暮らす一般市民だよ。
拳銃?
そんなものドラマの世界だ」
どんどん気持ちが高ぶって来た。
どこから銃弾が飛んできたのか、オイラは知らない。
だが、確かにオイラの左耳たぶは銃弾と接触した。
今でも耳の奥で、キーンとおかしな音が鳴っている。
鮎川がオイラの姿勢を崩してくれなかったら、銃弾はオイラを射抜いていた。
もしも心臓だったら…。
友里の顔を見たことで現れた心のゆとりが、事件の恐怖を再び思い出させる。
オイラ、死んでいたかも知れないんだ。
理由も知らず、誰とも知らない人物に銃殺されていたかと思うと、蓑毛がよだつ。
銃の所持が許可されない日本で、銃殺されたとなりゃ、世間はオイラをどう思うだろう。
オイラだったら、被害者も加害者同様、ヤバイ奴だと判断する。
例え家族や近所の人間が 「いい人」 と表現しても。
違う、違う、違う、オイラは真っ当な人間だぞ。
言葉通りの 「いい人」 だ。
銃殺されるようなヤバイ奴なんかじゃない。
ちゃんと調べてくれ!
根拠もなしに、おかしな噂を流さないでくれ!
オイラに殺される理由などないんだぞ!
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