探さないで下さい 24 | AKI 's ミステリー           

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これまでに書きためた作品を紹介します。

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『探さないで下さい』 第1話、 前話(23)

 

 

「登夢くんの様子は?」

 

「あの子は大丈夫、内心は心細いだろうけどね、お利口さんだったよ」

 

 オイラは軽く頷き、肩の水滴をタオルで拭った。

 

「横井さんは何と?」

 

「神経を尖らせてくれたようだけど、昨夜は誰も帰宅していないって。

登夢くんを預かるよと言ってくれたけど、引っ越してきて日が浅い上に、妊婦だろ、面倒かけるわけにはいかない」

 

「いや、登夢くんの面倒ならオイラが―― 」

 

 言ったまでは勢い。

 

「出来ないことを口にしてはいけない」 親の遺言が頭に過る。

 

ああ、どうしよう・・・。

 

オイラが登夢くんの面倒をみるなんて、どう考えたって無理だぞ。

 

今月は夜勤集中型のシフトだからな。

 

「登夢くんは、私に任せときゃいい。

さっき嫁に話したら、今日から小学生の孫をうちに泊まらせるって言ってくれたからね。

同年代の子が一緒なら、登夢くんの不安も少しは軽減できるだろ?」

 

 やったー、と声が出そうだったが、抑えて抑えて。

 

安堵の表情を隠すように、オイラはタオルで顔をごしごしと拭いた。

 

「あはは、その方が前村さんも好都合だ」

 

 岸田の婆さんは、オイラの心を読みとったと言わんばかりに豪快に笑った。

 

「岸田のば・・・、 いやいや、岸田さんの場合も・・・、 場合? 場合・・・」

 

 思考停止。

 

いつも岸田の婆さんを何と呼んでいたっけ?

 

岸田の婆さんじゃ、失礼だしな。

 

胡麻化そうとしたが最後、続ける言葉が思いつかず詰まる。

 

「バカ言ってぇ、岸田の婆さんでいいよ。

ん? 何を言おうとしたんだい?」

 

 バレバレか・・・。

 

「あ、いや、孫だけでなく登夢くんまで泊めるとなると、岸田さんに負担がかかるだろ」

 

「あら、気遣ってくれるの?

ほっほっ、このくらい平気だよ。

夕飯は息子の所で一緒に食べればいいしね。

登夢くんのおかげで、私も楽ができる」

 

 どんなことも楽しくプラスに解釈できるのは素敵だ。

 

岸田の婆さんに登夢くんを預けて正解。

 

 

 

 

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