「まーたこれ、何やってるのよー」
ローテーブルに広げた便箋を見つけた友里と鮎川は、顔を見合わせ笑っている。
「ああ、それね。
隠し文字が出てくるんじゃないかと思ってさ、水に浸したり、アイロンをかけたり試してみたんだよ」
「アイロンねぇ」
アイロン代りにピーピーケトルを使用したのは一目瞭然。
床に座った友里は、ピーピーケトルの持ち手を突いた。
「スパイ映画じゃないんすから」
鮎川が冷笑すると、
「この人ね、今流行りの 『相方』 みたいなのが好きなの。
きっと、『相方』 の左京さんになりきっていたのよ、想像がつくわ」
友里にズバリと言い当てられ、オイラは口を噤んだ。
穴があったら入りたい心境とはこのことだ。
「アンタの言う通り、山下の部屋のはゴシック体で、この部屋のは明朝体だわ。
それに、レイアウトが違う」
山下の部屋から持ち出した手紙をオイラの手紙の横に並べ置き、友里は違いに指をさした。
友里の指摘通り、山下の部屋にあった手紙の文字は同じ縦書きでも、オイラに届いたものに比べ配置が窮屈だ。
2枚の手紙を並べると、違いがはっきりとわかる。
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