昔々、山奥にある小さな村に「底なしの井戸」と呼ばれる井戸があった。その井戸は、深い淵の底がどこまでも続いているかのように見え、誰もがその奥の深さを測ることができなかった。
ある晩、その村で突然、行方不明の娘が発生した。村人たちは必死に捜索したが、どこにも彼女の姿は見当たらない。村人たちは不安と恐怖に包まれ、ささやかれる噂も底なしの井戸に関係があるのではないかと囁かれるようになった。
ある若者は、勇気を振り絞って底なしの井戸をのぞき込んだ。暗闇に包まれたその深淵の底には、何も見えなかった。しかし、若者が顔を背けたその瞬間、井戸から異様な声が聞こえたという。
次第に村で数々の不可解な事件が起こり、村人たちはいつしか底なしの井戸を忌み嫌うようになった。ある夜、嵐が村を襲い、雷鳴と共に底なしの井戸から奇妙な光が漏れるのを誰もが目撃したという。
ある老婆は、底なしの井戸に秘められた怨念が村を襲っていると警告したが、村人たちはその言葉を信じなかった。しかし、その翌朝、村は静まりかえっていた。村人たちは一斉に底なしの井戸に集まり、その深淵を見つめた。
その時、底なしの井戸から突如として不気味な影が現れた。それは、かつて行方不明になった娘の姿をしていた。村人たちは悲鳴を上げ、次々とその影に引きずり込まれていった。
最後に残った若者は、勇気を振り絞り、底なしの井戸に向かって叫んだ。「何者か、この呪いを解いてくれ!」その声に応えるように、底なしの井戸は轟音を立てて崩れ始めた。
混乱する中、若者は意識を失い、目を覚ますと自分は村の外にいた。後に聞くと、村は底なしの井戸と共に姿を消したという。
今でも、その底なしの井戸がどこかに存在すると噂されるが、誰もその真相を知る者はない。ただ、時折その地で幻のような影が見えると言われている。