最新エッセイ・Ⅱ | 伴に歩んで

伴に歩んで

ガンと闘った老夫婦の人生日記です。

昨日の朝、某全国紙(新聞)の1面に僕のエッセイが掲載されました。
最新作です。
連休明けの7日に書いて、翌日投函すると1週間後に新聞社から電話を頂きました。
21日に掲載しますと。
ホヤホヤの500字最新作です。


「季節が届いた朝」

連休の朝、寝ぼけ眼でポストをのぞくと何か入っていた。
旬のタケノコだった。1キロ近くもある。ご近所さんからだ。
今の私はタケノコご飯なら炊ける。娘も好物だ。
でも多いので、お礼を言ったついでに他のおすすめレシピも教えてもらった。
6年前、引き留めたのに妻は黙って逝ってしまった。卵焼きも作れない亭主と多忙な娘を残して。
仕方なく私が平日の給食当番になった。
でも、旬の食材、決まった時期しか店頭に出ない食材は扱いが難しい。
だから私が作るのはグランドメニューばかりだ。それでも大進歩だ。

やがてご近所の方々や友人たちから、旬の食材を頂くことが増えた。
親子で頑張っているご褒美なのだろう。
この春は、テニス仲間から家庭菜園のおすそ分けだと、スナップエンドウを何度も頂き、ゆでたりガーリックバター炒めにしたりして味わった。
連休前には採れたて野菜とそら豆がやってきた。
そしてタケノコが届き、最終日には新玉ねぎをたくさん頂いた。
ありがたいものだ。
本当は私を置き去りにした妻に感謝している。
彼女が皆に好かれていたから、私たちを皆が気にかけてくれるとわかっている。

「お母さん。旬をたくさん頂いたよ」とタケノコご飯を遺影に供え、
一緒に味わった笑顔の連休になった。