パーピヤスと言う者が、ブッダに次のように言ったそうだ。
「子のある者は子について喜び、牛のある者は牛について喜ぶ」
それに対しブッダは、
「子のある者は子について憂い、牛のある者は牛について憂う」
と述べたらしい。
現実の実際としては、子の無いものは子の無いことで憂い、牛の無い者は牛の無いことで憂う。
なので、喜ぶと言う表現が的確かどうかはさておき、波旬の言い分は尤もであり、ブッダの言はことの一面を語ったに過ぎない。
愛しみによって人は安らぐ。これは本当のことだ。
ただ、子もなく、富も財もなく、家族もなく、伴侶もなく、友もない人が、憂うことがないなら彼は、自分自身を得たのだと言えると思う。
彼は別に満ちてはいないが、不足はない。