先日、寝る前に、YouTubeをサーフィンしていたら、小田純平さんの「昭和生まれ」という演歌バラードに辿り着きました。昨年リリースされた人気曲なんだそうですが、初めて聴く唄でした。

 

 曲も素晴らしい上に、なんといっても渋いバリトンの歌声と強烈な歌詞に圧倒されたものです。

 

 こんな出だしから始まります。

 

    男の人生 野暮でいい

    洒落た恋など なくていい

    ひとりの女を 愛しぬき

    幸せやれれば それでいい

 

 以降、時代遅れと言われても、だとか昭和生まれの生き様をとか、ひたすら愚直に働いてと展開するあたり、昭和生まれの男を歌い切っているわけで、同じく昭和生まれの男である自分にとって、いたく心に残ったものです。

 

 私は、元々、ジェンダーの視点に敏感なところがあり、男と女を意識的に区別しすぎるタイプではありません。矛盾するようですが、あえて、思った事を口にすると、今の令和時代は確かにジェンダーの視点が成熟しつつある時代だと思います。しかし、平成時代はどうだったか、これはあくまでも私の意見ですよ。女の時代だったような気がしますね。それに対して、昭和の時代はどうだったか、これはまさに激動の男の時代だったと思います。

 

 昭和の男というメタファーは、単に生まれた時代が昭和時代であるというよりも、特定な価値観に結びついた群像のような気もしますね。  

 

 私が社会人になったのは平成元年、まさにバブルの絶頂期でした。当時の上司たちからは、新人類世代と呼ばれた年代ですが、私にいわせれば、本当の昭和の男というのは、私たちを新人類と呼んだ当時の上司たちのような気がしますね。親父世代かな。戦前に生まれ、昭和時代とともに人生を歩み、時代が変わって後、一人ずつ社会から消えて行ってしまった方々。

 

 今思い起こしても、当時の上司たちは怖かったというか、万事において凄かったな。それに、皆が皆ではないけれど、彼らの多くは、女性との恋愛を苦手としていたような気がするな。結婚は仕事の一種のように思っていたというか、恋愛は結婚してから妻とすればいいと、年若き私に説教をしてくれた上司もいます。

 

 もう一度冒頭の歌詞に戻ります。

 

    男の人生 野暮でいい

    洒落た恋など なくていい

    ひとりの女を 愛しぬき

    幸せやれれば それでいい

 

 

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 私が二十代の頃かな、宮本輝さんの「ここに地終わり海始まる」というロマンあふれる小説が出版され感銘を受けた記憶があります。
 
 先日、日比谷公園から内幸町、虎ノ門へと向かい歩きました。都内有数のオフィス街で残業の灯が夜の祭りを艶やかに彩っていました。衝動的に写真におさめた一枚ですが、どういうわけか、その時、「ここに地終わり海始まる」という小説のフレーズが脳裏に浮かび上がったのです。
 
 少し前から考えていたのですが、今年いっぱい、つまり、来年の3月をもって退職しようと決意したのです。少しだけ定年退職には間がありますが、やりたいことがあるんですよね。金銭的にもなんとかやっていけそうな気がしています。
 

 
 人生は三つの時期に区切れるのか、一つは就職するまで、もう一つは退職するまで。そして、最後は退職後です。私の場合、最後の期間にこそ夢が実現できるような気がしています。
 
 

 

 一昨年だったかな、私は、筒井康隆さんが、自ら最後の作品集と謳う「カーテンコール」を読了しました。なかなか印象深い掌編小説集で、偉大な作家による独特な文芸世界を堪能させてもらったものです。読後感としては、明るい紫と夕日のオレンジ色に抱擁されたような不思議な郷愁感を覚えたものです。しかし、驚いたのは、筒井康隆さん、「カーテンコール」の発表時89歳というご年齢に達していたことです。

 

 数年前から書き続けたものを発表したとはいえ、八十代後半での精力的活動には感心しきりでしたね。

 

 カーテンコールというのは、演劇やコンサート等で幕が下りた後、出演者が舞台に再登場してお客さんに挨拶する事をいうのですが、題名からして、最後の文筆活動を思わせるものでした。

 

 ところが、その後に出版された「筒井康隆自伝」の書評で、書評家が「まだ足りぬ 踊り踊りて あの世まで」という言葉をもって筒井康隆さんの創作活動を評しているのを知りました。このフレーズは昭和の歌舞伎界を代表する名優が死ぬ直前に残した辞世の句だそうですね。意味は、あえて語りませんが、誰でも感じるところがあると思います。

 

 そして、最近、知ったのですが、今年の4月には、更に新しい本が出版される予定だと知り、驚いています。90歳を超え、有料老人ホームで車椅子の生活にあって書き上げたことに、私は、こういう人こそ天才と呼ぶにふさわしいのではと感じました。

 

 

 

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