X(旧ツイッター)で昨日五十代の知人男性がとても興味深い話を載せていました。

 

 その方、数年前に母親を亡くし、現在は妻子三人都内マンションで優雅に暮らしているとのことなのですが、数日前に都内某警察署から電話があったとのことです。

 

 警察署からの電話内容というのは、管轄区域のアパートメントの大家から連絡があり、部屋の住人である老人がカギをかけたまましばらくの間音沙汰がない、一緒にカギを開けて確認して欲しいというものだったそうです。そして、大家立ち合いの下、警察官がカギを開けて部屋に入り込んだら、布団にくるまって一人の老人が死んでいたという報告だったとの事。

 

 なぜ、警察署が彼に電話をかけてきたかというと、その老人というのは彼が少年時代に離婚して家を出て行った実父だったからだそうです。

 

 小学校に入学する頃に、散々、家族に迷惑をかけ酒と女に溺れ借金をつくっては逃げるように家を出て行った父親だそうで、彼は以来四十年間一度も父には会っていないからその容貌さえも茫々としたものなのだそうです。勿論どこに住んでいるかも分からなかったといいます。

 

 実際、彼が少年時代には家に借金の取り立て屋が押しかけて来て母親が悲鳴をあげる姿を記憶しているともいっています。だから、当然父親に対してはいい感情があるはずもなく、父が孤独死した事については気の毒だとは思うけれど、なんで自分のところにかけてきたのかなと最初疑問に思ったそうです。

 

 警察官に事情を訊くと、どうも父はアパートの固定電話近くに数少ない親戚の名前と連絡先を書いた紙を置いており、その中に一人息子である彼も入ったいたからなのだそうで、どうして知っていたのか驚嘆したといいます。おそらく、母が死ぬ前に一度会って教えたんじゃないかと思ったそうですが真相は藪の中。

 

 結局、警察署からの電話内容は父の死去を教えると同時に葬儀や遺体はどうするのかという相談だったそうです。しかし、彼は断ったそうです。会社経営者でもある彼は今とてもじゃないが休めない状況にある、申し訳ないが他を当たってほしいと警察署には伝えたそうです。

 

 しかし、不思議に思ったのは、その彼、自分が持っている数少ない父の写真を全部Xにアップしているんですよね。幼児の彼を抱きかかえている父の写真やら若き日の父と母の写真、全部で五枚くらいかな。そのうちの一枚、三十歳位なのかな、当時の父だけの肖像写真を私が見た時です。

 

 あれっ、このお父さんって、二十年位前の彼にそっくりじゃないか、最初私は彼自身の肖像写真と勘違いしてしまう程でした。

 

 なんで、彼は父の写真をアップして多くの人に見てもらおうと思ったのかな。自分をしっかりと抱きしめてくれている父の写真をアップすることで供養としたかったのかな。

 

 人生はいろいろあるね。特に孤独死については、単なる悲しみとか寂しさを超えた何かを感じさせますね。

 

 

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