多くの小説家でも想像を絶するような桐島聡容疑者の前代未聞の事件が終わりそうですね。

 

 ここで、報道記事を読むと、桐島被疑者死亡のまま警察は検察に書類送検をするというふうに書かれていますが、これを読んだ多くの方々は疑問を抱くんじゃないのかな。死んだ者に対する捜査の続行ってどういう意味だろう?

 

 私も最近加齢のせいか昔学んだ刑事捜査手続の知識にあやふやなところがありますが、まず書類送検とは何かについて考える必要があるかと思われます。

 

 送検という言葉は厳密には法律用語ではなく、報道用の用語です。そして、この送検には身柄送検と書類送検という二つの次元が異なる意味があります。

 

 身柄送検というのは警察が被疑者を逮捕して四十八時間以内に検察に送致することであり、これには併せて捜査資料なども送致されるわけです。これに対して、書類送検というのは身柄は送致されないが捜査資料などだけが検察に送致されることを意味します。

 

 ここで盲点になるのが刑事事件を起こしたからといって必ず逮捕されるわけではないということです。逮捕されないで裁判所で有罪判決までなされることもあるということです。普通、窃盗や薬物事件等を起こせば警察に逮捕されるのが当たり前ですが、ケースによっては逮捕されることなく普通の社会生活を送りながら最後の判決までいく場合もあるということなのです。どんなケースか、一つは軽犯罪法などの一定の軽い事件の場合です。こういう軽い事件の場合は住居が不定だとか逃亡しやすい状況じゃないとまず逮捕はされないと思います。あとは、逮捕しなくても逃げたり証拠を隠滅しないと考えられる場合、有名な政治家の汚職事件などが想定できるかな。交通事故加害者の場合も逮捕されない場合があるけれど、これは判断が難しそうですね。

 

 このように逮捕しないで裁判まで進める場合を在宅捜査というわけですが、警察で捜査を始めた以上はその資料は全部検察に送致されることになります。ただ、その資料も検察に送致しない、つまり警察段階で全て終わらせてしまう場合もあり、それが一定の微罪処分です。どういう場合が微罪処分になり、お咎めなしで終わるのかは分かりませんが、これは知らない方がよさそうですね。

 

 さて、桐島聡容疑者ですが、これは当たり前ですがもう逮捕することはできないわけですよね。だから、身柄送検がなされることはありえず、書類送検だけがされることになるわけです。しかし、裁判所は死者に有罪判決を宣告するわけにもいかず、結局、捜査資料を受け継いだ検察は不起訴処分という結論を下すことに決まっています。

 

 どうせ不起訴処分になるのが分かり切っているのならば、予算の無駄だ、警察段階で全て終わらせていいのではないかという疑問が生じると思いますが、ここで警察と検察の関係が問題になってくるのです。

 

 要するに検察は公益の代表者として、事後的見地から警察捜査をチェックするという役割を担っており、今回の桐島騒動に不適正な捜査はなかったかという事や、捜査資料から共犯者や犯人隠避に当たった者がいなかったかという事をチェックするということになります。

 

 この事件、あと少しだけ注目したいところです。

 

 

 

 

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