一昨年だったかな、私は、筒井康隆さんが、自ら最後の作品集と謳う「カーテンコール」を読了しました。なかなか印象深い掌編小説集で、偉大な作家による独特な文芸世界を堪能させてもらったものです。読後感としては、明るい紫と夕日のオレンジ色に抱擁されたような不思議な郷愁感を覚えたものです。しかし、驚いたのは、筒井康隆さん、「カーテンコール」の発表時89歳というご年齢に達していたことです。
数年前から書き続けたものを発表したとはいえ、八十代後半での精力的活動には感心しきりでしたね。
カーテンコールというのは、演劇やコンサート等で幕が下りた後、出演者が舞台に再登場してお客さんに挨拶する事をいうのですが、題名からして、最後の文筆活動を思わせるものでした。
ところが、その後に出版された「筒井康隆自伝」の書評で、書評家が「まだ足りぬ 踊り踊りて あの世まで」という言葉をもって筒井康隆さんの創作活動を評しているのを知りました。このフレーズは昭和の歌舞伎界を代表する名優が死ぬ直前に残した辞世の句だそうですね。意味は、あえて語りませんが、誰でも感じるところがあると思います。
そして、最近、知ったのですが、今年の4月には、更に新しい本が出版される予定だと知り、驚いています。90歳を超え、有料老人ホームで車椅子の生活にあって書き上げたことに、私は、こういう人こそ天才と呼ぶにふさわしいのではと感じました。
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