望月・すごいね…じゃあ、拡大解釈が進んでいって、コントロールが効かなくなって、軍部は暴走していったと


佐藤・そういうことですね。なので僕はね、朝日新聞にいた時に僕は記者を外されて飛ばされていたことがあるんだけど、朝日新聞のね、昭和元年からの朝日新聞をデータベース化するという仕事をやったことがあるんですよ。朝日新聞を全部読んだんですよ。随分古いの。でね、戦争の前の朝日新聞を見てね、どういうことが書かれていたかというと、陸軍のある将軍が非常に陽気に得意満面で記者に語ってるのがあるんですよ。どういうことかというと、予算は全部俺たちの軍部の言うがままだと。そして、日銀の国債の直接引き受けってあるんですよ。要するに政府が国債を出すじゃないですか。日銀が直接それを引き受けるわけですよ。日銀ってのはお金を刷るところだから、国際引き受けて、そして現金を渡すわけですよね。この制度はすごく良い制度だと。とにかく、日銀に全部引き受けさせれば、金がジャンジャン出るじゃないかと。これは絶対やるべきだと。そしてね、軍備を進めるべきだと。そして実際それをやったんですよね。でね、戦争する国会っていうのは、必ずそれをやるんですよ。つまり、中央銀行に国債を発行させて、そして現金を引き出させて、それで軍備を増強するんですよ。必ずやるんですよ。お金がないからね。でもその後どうなるかっていうと、それで必ず戦争に負けて、余ったお金が大インフレになるわけですよ。必ず敗戦国家っていうのはね、超・インフレ(物価が継続的に上昇し、お金の価値が相対的に下がる経済現象)になるんですよ


<まあ、ものが高くなるよね、そりゃあね、様々なもの壊されてるだろうから


ドイツ然り、日本然り、で、経済がガッタガタになっちゃうんですね。それを日本がやったわけなんですよ。だから今はね、日本の財政法では、日銀による直接引き受けは禁止されてるんですよ。これはね、各国ともそうなんですよ。なぜかと言うと、それを認めると戦争に必ず走るから。歴史上教訓になってるんですよね。これがね、財政民主主義と言うんですよ。そういう歴史があるんですよね。で、石破さんの判断というのはまさにその通りで、統帥権によって、予算にまで口を出すようになってきて、歯止めが全く無くなってしまった。それで戦争に突入した。なので若きエリートたちが集まった結論も全く無視されてしまった。というようなことなんですよね。


望月・戦略研究所と秋丸機関の話もしてましたね


佐藤・秋丸機関の方は僕はよくわからないんだけど


望月・メディアの問題もね、繰り返し石破さんが言ってたことですけど、メディアが偏狭なナショナリズム(自国や自民族の利益・優位性を過度に主張し、他国や他民族を排斥しようとする考え方)を煽っていったわけですよね


佐藤・そう


望月・そこも繰り返し彼は言ってましたし、石破さんの金曜日の会見でも、日本テレビはじめ記者たちがね、「メディアの責任」ってことを。まさに今メディアが戦争に向けて、ある種、台湾誘致とかね、対中国との戦争を想定したようなニュースとかの発信が、私はすごく増えてるような感じがするんですけれど、会見で記者たちの声を聞いてると、まさにメディアの問題っていうのを、まあ石破さんが書いたことについて聞いてるんだけど、我が身ごととしてある種聞いてるのかなって感じがしてですね。日本の今の状況って、中国が危ないとか、日本人ファーストみたいな言葉もはじめ、すごく偏狭なナショナリズムが太平洋戦争の時に煽られていたようなのが広がりつつあると、私は思ってるんです。だけど、やっぱりメディアに関わっている記者さんたちが、今日こう言って石破さんが提示したことに、何社かがメディアの問題の質問してたから、それは自分たちもそういうことに加担してはいないかという危機感だと、私は聞いてて思ってたんですけど。特に地方紙をいっぱい指してたじゃないですか。そうすると地方紙の人たちはより軍拡とか、敵基地能力の保有とか、ああいうことにとても慎重だし、あえて地方の声とか、地方に、石破さんはね、人気がありましたから。そういうことも意識して、かなりの数の記者が指されてたんですけど、特に地方紙の記者が指されてましたね