「努力できる」「頑張れる」「やってみる」事が当たり前ではないと気付いたのは、某専門学校で初めて統計学を教えた時。黒板に数式書いても、誰も手が動かない。生徒全員がぽかーんとフリーズしたまま授業が終了。もちろん、質問は?と聞いても誰も手をあげない。帰り道、次からどう教えれば良いのか→
文字通り頭を抱えた。例えば東大生や医学部生であれば、板書すればとりあえず書き写してくれるし、理解できない点があればすぐ質問してくれる。
この専門学校の生徒と何が違うのか考えた時、「過去の成功体験」に大きな差があるのではないかという仮説が思い浮かんだ。この専門学校は全員が推薦入学→
で受験経験なし、一方で東大生や医学部生は「自らの努力によって受験を突破した」という圧倒的な成功体験がある。一度でも努力にして成功した経験があると、「努力したらできる」「やってみればできる」と思えるようになるので、未知の課題にも前向きに取り組めるようになるのではないかと。→
目の前の専門学校生には、その経験が恐らく足りない。なので未知の課題を前にした時、どうすればわからずにフリーズしてしまうのではないかという仮説を立てた。そこで、全15回の講義目的を「やってみたらできた、という成功体験を積む事」に変更。第2回目以降は「わからないことは恥ずかしくない→
わからなくても教わった通りにやってみる、とにかく手を動かしてみることが重要」と繰り返し伝え、教室内を歩き回っては「できてるじゃん!」「完璧だよ!」「わからないとか言ってたけど、やればできるんだからもう〜」と褒めまくり、とにかく自己効力感を育てることを意識した。するとどうでしょう→
初回講義で一切手が動かなかった生徒達が「とりあえず式を書いて解いてみる」動作ができるように。回を重ねる毎に「どうしよう、解けちゃった…」「ねえ私、これならできる!」と生き生きとした表情に変わった。さらに成功体験を積ませるために「先にできた子は、隣の子に教えてあげよう!」と声かけ→
てやらせてみたら、「どうしよう、教えることもできちゃった…!」という声があちこちから聞こえてくる。教える役やった子には「素晴らしいよ!教える才能あるね〜!」、教わる側の子には「いいね〜できてるじゃん!」と声かけると、皆自信に満ちた表情に変わっていき、最後は論文まで読めるように→
なったのでした。最終回では、実はこの授業を通して「やってみたらできた」という経験をして貰いたかったこと、これから社会に出たら辛いこと難しいこと色々あると思うけれど、その時はこの授業でやったことを思い出し「やればできるんだ」という自分の可能性を信じて人生を歩んでほしいと伝え終了。→
この経験から学んだことは、世の中には自分に自信がなかったり過去の成功体験・ロールモデル不足からそもそも努力するという発想に辿り着けない人、努力したくてもどうして良いかわからない人(頼り方や戦略の練り方がわからない人)、過去の失敗経験から新しい挑戦を怖いと感じる人等がいるという事→
この経験から学んだことは、世の中には自分に自信がなかったり過去の成功体験・ロールモデル不足からそもそも努力するという発想に辿り着けない人、努力したくてもどうして良いかわからない人(頼り方や戦略の練り方がわからない人)、過去の失敗経験から新しい挑戦を怖いと感じる人等がいるという事→
奨学金も、呼吸するように努力できる強者目線で設計するのではなく、戦略立てて努力出来ない弱者にもっとチャンスが与えられ、その人が人生を挽回出来るような設計にした方が良いのではないかと思う。卒業後に苦労させないためにも、学業・就職支援等、受給者への在学中サポートに力を入れるべきでは。
学生時代にバイト先でフリーターの方と一緒に仕事して驚いたのですが、非正規雇用だと正規雇用と比べ生涯賃金にどのくらい差が出るのか知らなかったり、マネーリテラシーが低くて将来への投資ではなく消費に使ってしまったりする人は意外と多い。ただお金を貸すだけでなく、返還するための人生設計や→
キャリア構築に関するセミナー受講を必須にする等の支援はあっても良いのではないかと思う。本当は高校卒業までに家庭や学校でこのあたりを学べたら良いのですが、恵まれた環境に置かれた人ばかりではないので、大学生時代がそういう機会を提供できる最後の砦になるのではないかと。→
日本は雇用の流動生が低いため、新卒でどこに就職するかが、その後のキャリアや収入をある程度決めてしまう。私が制度設計者なら、就活に間に合うように、大学1〜2年生の時に奨学金受給者対象に教育介入を行う。そして、卒後の就職先・収入・奨学金返還状況をアウトカムに効果評価を行うだろうと思う
もちろん理想論であることはわかってるのですが、一度小規模に実験してみる価値はあるのではないかなと思う。偏差値の高い大学に通う学生は恐らく問題なく返せる人たちなので、いわゆる偏差値の低い大学に通っている(つまり大手企業への就職が難しい=高収入が得られにくい)ハイリスク群を対象に。
奨学金貰って偏差値の低い大学に行くくらいなら就職してお金を稼げ、という意見も気持ちはわかるのですが、日本の企業の多くは高卒と大卒で明確に給与差をつけているんですよね(昇進についても)。こういう国である限り、大卒資格を求めるのはごく自然ではないかと。なかなかに複雑な問題です…