暦を繰るとさて、もう半月も前の事だ。
その日は生憎の曇天であったが、僅かに射す日の温みに意を決し、握り飯を拵えて家を発った。
籠もりがちたる我知らぬ間に、既に季節は冬掛り街行く少女らのスカート丈は愈々短い。
駅に着くも電車は相変わらず来ず、空きっ腹の対処の為ふらり這入った食堂の
蕎麦と蕎麦茶が絶妙で、乾いた脳髄に少しばかりうるほひが戻るのを感じた。
埃を被った写生帳、何故かギュウ詰めの鞄を携えて、件の古刹へと向かう。
週末でないし空いているかと思いきや、かえって団体の客が犇いていた。
手水を取り襟巻きを締め直して墓場の脇の山道に足を踏み入れる。
泥濘や落ち葉が、舗道に慣れた齷齪とした歩調をあらためさせる。
登っていく内動悸がし、頬は紅潮汗ばむ等と、動物に戻りゆく様。
突如視界を塞ぐ岩肌。初めて訪れた際の、斎や畏怖の感は薄れ、幾分懐かしむ様な気持ちになる。
大師の宿りしという洞を眺めつつ、早速に握り飯を喰らう。手長足長の蜘蛛達が足元を散歩している。
何を祀りし社か知らぬが拝し賽銭を上げ、岩陰に座り込んで漸くその壮絶な景観を写す事を始める。
次回に、つづく☆彡