三宅俊彦「東北・常磐線120年の歩み」(A5判、全234ページ、グランプリ出版2004年2月13日発行、定価1900円+税)
日本鉄道による東北本線開通から120年に際して編まれた本で、前半は開業から全通までの開発史にページが割かれていて、密度の濃い文章と合わせて、著者が保有する絵はがきや資料などの掲載もあり、資料性が高い。後半は、著者が得意とするダイヤや編成表がメインで、こちらもよく書かれている。
宮脇俊三取材ノート制作委員会「鉄道紀行作家を支えた記録 鉄道紀行宮脇俊三取材ノート」(A4変形判、全176ページ、誠文堂新光社2013年8月29日発行、定価2400円+税)
宮脇俊三の旅行風景を納めた写真、「最長片道切符の旅」のメモ帳、「最長片道切符の旅」「時刻表昭和史」の自筆原稿、が主な内容なのだが、いずれも資料性に乏しく、読んで楽しいというものでも無しに、本書を出版した意義が分からない。
とにかく、故人の遺品を金に換えよう、という意図しか感じられない。
それを顕著に表しているのが、p27からp36にかけて。蔵書の一部がカラー写真で掲載されているのだが、時刻表復刻版のセット内容とか、その紙面などは、わざわざページを割く必要は無いだろう。同じページを使うのであれば、写真として納められている書棚に置かれている本の一覧を掲載するとかして欲しい。そうしなかったのは、単なる手間惜しみだろう。
その一方で、もっとクローズアップして欲しい部分が、ぞんざいに扱われていたりもする。
p46に「国鉄1回のみ乗車区間(昭和57年10月20日現在)」との地図があるのだが、小さい上に光に反射して、まったく見ることができない。こういう資料こそ、ページを割いて掲載すべきだろう。その他に、p55下段中央に、自宅建て替え前の書斎らしき写真があるのだが、この書斎は、宮脇は立て替え後の書斎以上に愛着を持っていたもの。他にも書斎の写真があれば、そちらを掲載すべきだろう。
主な内容である自筆原稿にしても、ここまで大量に載せる意図が分からない。「最長片道切符の旅」については、メモ帳と手書き原稿で同じ箇所が掲載されていることは評価できるが、推敲した部分が分かっても、だからと言って、それが宮脇作品の理解に繋がるとは思えない。p90で種村直樹の「汽車旅相談室」について触れた部分で、「私の座右の書のようになっていたので」の部分が線で消されているのは、先日、種村のトークショーが行われた中では、もの悲しく思える。
それ以前に、手間を惜しむどころか、単純なミスが目立つ。p11の写真で、写真では「あかしや」となっている列車名が「あかしあ」となっているのはまだ良い方で、p62とp63では同じ写真2枚がどちらのページにも掲載されている。同じ見開きにあるのに、気づかなかったのだろうか。p116のキャプションは、「第9日」となっているが、「最終日」であろうし。
とにかく、宮脇本人及び作品に対するリスペクトが感じられず、宮脇当人が本書を見たら、呆れるのではないだろうか。
千葉県企画部交通計画課「千葉県の鉄道史」(B5判、全84ページ、千葉県企画部交通計画課1980年3月発行)
同課がまとめた、国鉄・私鉄を含んだ、千葉県の鉄道史。少ないページ数の中で要領よくまとめられているが、千葉県が所有している史料などは取り上げられておらず、本書ならでは、と言った観点は無し。